研究課題/領域番号 |
19KK0299
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 絵里香 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90706912)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | 高齢者ケア / フィンランド / 民営化 / 私事化 / 文化人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
本国際共同研究計画は、申請者がフィンランド西南地方の村落部において遂行している実地調査の成果について、ヘルシンキ大のヴレーデ教授の研究グループが首都圏で進める調査の成果と比較、検討する過程を中心とする。移民ケアワーカーが浸透する都市部の民営化されたケアサービスと、過疎化の進む島嶼部の状況はどのように連動しているのだろうか。従来は村落部のような伝統的家族関係の島嶼部において進む親族介護者支援の試みは、都市部においては移民家族に対しても提供されているのだろうか。こうした問いに取り組むことで、私事化/民営化の進む福祉国家の様相を明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
フィンランドの高齢者ケア制度の私事化/民営化の進展状況について、2022年8月および2023年3月に実地調査によるデータ収集を行った。具体的には、行政の在宅介護チームにおける組織改革と効率化が現場にもたらした影響について調査を行った。また、高齢者ケアに関わるサービスを提供する私企業に対してインタビューを実施した。さらに、親族介護支援を受ける介護者/被介護者について、サービス利用状況の変化にともなうケア実践の調整についても記録した。 以上の調査結果を踏まえ、 国際共同研究のカウンターパートとなっているフィンランドのCoE研究プロジェクト:AgeCareグループの中間会議である‘Longer lives, better care?’において、マネジリアリズムを実現するICT技術の利用実践について、最新の成果発表を行った。この中間会議を通じ、同CoE研究グループに所属するラップランド大学のシャナイ・ベグム研究員と共同での論文執筆に着手した。この論文は、同CoEグループのテッポ・クローゲル教授の提唱したケア・ポバティ概念の村落部への適用可能性を検討するものであり、具体的にはラップランド地方と群島地方の比較を行うものである。また、タンペレ大学のオウティ・ヨランキ教授とも老年期の居住に関する論文の共同執筆の可能性を検討している。 さらに、トゥルク大学のティーナ・スオパヤルヴィ氏の研究プロジェクトにも参加することが決定した。こちらも過疎地域におけるエイジング経験についての比較研究であり、当国際研究のテーマと合致するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は多くの在フィンランド研究者と共同研究の計画が端緒についた。これは、コロナ禍においてはなかなか対面で会うことができなかった人びとと顔を合わせたことをきっかけとするものである。ただし、元々の計画が大幅に遅れていたために、いまだ具体的な研究成果を発表するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は共同研究の成果を発表・出版していきたい。特にCoE AgeCareのサマーセミナーに参加し、そこで議論を重ねていく予定である。ただし、カウンターパートも各々の業務で多忙であるため、相手先に無理をさせない範囲で計画を進めていきたいと考えている。
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