研究課題/領域番号 |
19KK0301
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
森崎 美穂子 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (60812708)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
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キーワード | 世界遺産 / 食の文化遺産化 / テロワール産品 / 景観 / 食文化 / スキーリゾート / 酪農 / 条件不利地域 / 農村振興 / 地理的表示制度 / 観光振興 / リヨン / 栗 / 地域振興 / 農泊 / 文化遺産 / 農村 / 観光資源 |
研究開始時の研究の概要 |
テロワール産品にまつわる伝統的ノウハウや評判、地域景観との相互作用がどのように「過去」を高付加価値化し、当該産品と農村地域が文化遺産化されるのか、農産品や食品、産地の日仏比較によって、これらを真正なるものとする要素を摘出する。 地域の食文化の真正性(本物らしさ)についての理論的検討を行うことで、食文化と原材料生産、特異な景観との相互作用を通じたシナジー効果とそのメカニズムを解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本国際共同研究は、現在の資本主義経済が「過去」をどのように高付加価値化し、とりわけ伝統的な食や農村地域をどのように文化遺産化するかについて、テロワール概念を用いて解明することを目的としている。テロワール産品はフランスの食文化のキー概念である。 2023年4月には、フランスからC.DELFOSSE教授、クレルモン=フェラン獣医畜産大学P.JEANNEAUX教授、フランスでチーズの生産を行っている山口潮久氏を招聘し、国際シンポジウム、セミナー、またフランスの酪農経営と地域食料システムについての研究会を開催し、研究成果の発表を行った。 シンポジウムと経て、引き続き、フランスのリヨン第2大学 C.DELFOSSE教授、クレルモン=フェラン獣医畜産大学P.JEANNEAUX教授と共に日本の状況調査を含めて共同研究を進めている。フランスの山岳地帯のチーズなどのテロワール産品は、冬季のスキーバカンスでの需要と強い結びつきがあった。しかし、近年の気候変動により山岳地帯は、永久凍土の劣化、氷河の後退、積雪量の減少がみられ、とりわけ標高の低い町村営のスキーリゾートが経営危機に瀕している。小規模町村スキー場の場合、町村の行政区分と観光地は、大部分が重複し、町村にとって観光振興は喫緊の課題である。他方、観光客にとって、こうしたスキー場は農業活動および牧歌的景観の維持と切り離せない。したがって農業活動の維持が観光振興と密接に結合している。冬季の人工降雪機への過度の依存ではなく、四季を通じて山岳地帯での観光活動ができるように転換が促されているところである。これらの支援は「山岳未来プラン(Plan Avenir Montagne)」(コロナ禍で閉鎖されたリゾートの再開を支援する目的で施行された)によっても取り組まれている。引き続き、経済活動と脱炭素社会への転換について調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年3月に国際共同研究の成果を日本で書籍を刊行し、報告(国際シンポジウム)を開催することが出来た。しかし、国際学会の参加が難しい状況にあり、国際ジャーナルの投稿の準備が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国際共同研究を進める。 文化遺産やテロワール産品等を活かした地域振興の取り組みが進んでいる地域であっても、気候変動による積雪の減少等が、冬季バカンスの需要による経済活動に影響を与えている。脱炭素社会へ転換が目指されるなか、持続可能な観光について、どのような方策を取るのか調査を進める。成果報告については、国際学会の参加が難しい状況ではあるが、共同研究者と協力して国際ジャーナルの投稿の準備を進める。
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