研究課題/領域番号 |
19KK0309
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 創 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (80437178)
|
研究期間 (年度) |
2019 – 2023
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 社会性 / うそ / 道徳性 |
研究開始時の研究の概要 |
本国際共同研究は,子どもの社会性の発達の程度を表す指標となりうる「嘘」と「道徳判断」の発達について,日本と西洋の国際比較を行うことで,子どもの社会的な心の発達の普遍性と文化的独自性を検討するものである。調査や実験といった手法を用いることで,子どもの社会的な心の発達の普遍性と文化的独自性を明らかにし,教育実践に波及する示唆を導き出すことを目指す。
|
研究実績の概要 |
本国際共同研究では,幼児期から児童期を対象に,状況に応じた嘘および道徳判断の両者に文化差が関連するかどうかを検討するものである。具体的には,状況に応じた嘘と道徳判断の両者が関わる課題として,先行研究を参考に課題を設定し,心の理論の発達の程度を調べる課題を合わせて実施することを検討している。その結果,日本とイギリスに共通する全体的傾向として,心の理論の発達とともに,定型的な嘘と状況に応じた嘘を区別でき,状況に応じた道徳判断ができることが見込まれる。これは文化を越えた普遍性を示すものと考えられる。さらに,日本のように「包括的思考様式の文化」では,比較的少ない手がかりで状況を読んだり,情報を補って把握する傾向が高いと考えられる。これに対して,西洋のように「分析的思考様式の文化」では,事実に注目し,その関係を論理的に考える傾向が高いと考えられる。このことから,文化差が関連し,日本の児童は,イギリスの児童よりも,嘘を寛容に考え,道徳判断で悪くないと判断する傾向が相対的に見られる場面もあると予想される。この判断の程度の差が,状況に応じた嘘と道徳判断における文化的独自性を示すと考えられる。今年度は,新型コロナウイルスの世界的な感染による外務省および所属大学からの渡航禁止が解除されたものの,渡航禁止期間中に当初予定していた受け入れ先の研究者が所属機関をご退職されたため,渡航先を変更することになった。このため,予定されていた渡英が年度内にできず,R5年の4月に出発することになったため,今後これらの実験・調査計画について,文化差をふまえて,課題の設定,統制の方法などを,新たに相談しながら,これらの研究を進めていくことになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的な感染による外務省および所属大学からの渡航禁止が解除されたものの,渡航禁止期間中に受け入れ先の研究者が所属機関をご退職された。これにより,渡航先を変更したため,課題の設定や統制などの検討が遅れることになった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の目的に沿いつつ,多面的に調査を続けることで,子どもの社会性の発達について,さらに明らかにしていきたいと考えている。
|