研究課題/領域番号 |
19KK0316
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
認知科学
実験心理学
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研究機関 | 大阪大学 (2021-2022) 国立研究開発法人情報通信研究機構 (2019-2020) |
研究代表者 |
森 数馬 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (70754696)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2022
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 感動 / 報酬 / 音楽 / 脳 / 安静時脳機能結合 / 機械学習 / 脳情報デコーディング / 脳情報処理 / 音響特徴量 / 脳磁場 / 経頭蓋磁気刺激法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、脳における感動の生起要因を解明および操作する技術を開発することである。基課題となる若手研究(B)では、機能的磁気共鳴画像(fMRI) の計測により音楽の感動がもたらす脳活動を検討したが、この方法には時間解像度に限界があり、また相関関係が検討できるのみである。本研究では、発展手法として、脳磁図(MEG)、脳波(EEG)、経頭蓋磁気刺激法(TMS)の統合的な検討を行い、高速に変化する音響特徴量に対する脳情報処理の方式から、感動の因果関係を見出して操作する技術の開発に挑む。そこで音楽による感動研究で世界をリードするMcGill Universityと協力し、この目的の達成を目指す。
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研究成果の概要 |
音楽などの芸術作品に感動するとき脳は特有の活動を示すが、こうした活動がどのように生じるか不明である。本研究は、感動の生起要因について音楽を聴取する直前の脳ネットワークに着目して検討を行った(パンデミックのため当初予定を変更)。その結果、聴覚-報酬脳領域において、特定のネットワークが形成されている場合、感動反応がより長く持続すると示された。また、聴取中の生理反応や報酬脳活動の強さについても、聴取前の聴覚-報酬ネットワークから予測可能であった。これらの研究成果から、感動の一つの要因として脳の準備状態が重要であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、音楽を聴取する前の脳ネットワークの値を用いた機械学習によって、音楽に対する感動反応が予測できると示した。音楽の感動は報酬脳活動をもたらすと知られているが、その要因については未解明の部分が多い。本研究の成果から、音楽による報酬脳活動を規定する要因に関しての新たな学術的知見が得られたと言える。また、例えば、味嗅覚に関する脳領域と報酬脳領域のネットワークが、食への報酬を規定するといった、他感覚での報酬を示唆する成果でもある。本研究の感覚野と報酬の脳ネットワークによりその後の経験を予測する技術の開発は、五感に関する新たなマインドリーディングの手法となり得るものであり社会的意義が大きい。
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