研究課題/領域番号 |
19KK0331
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 綾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20537138)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | エビ養殖 / 可視化 / 水質 / 外部性 / ベトナム / 質への投資 / シグナリング / 情報の非対称性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、質が混在する途上国の高付加価値農水産物の市場において、農家の質への投資行動を考察する。事例として、ベトナムのエビ養殖産業を取り上げる。同産業では、国際的に禁止されている抗生剤を農家が使用したり、投入財にそれらが元々混入されていることが問題となっているが、農家が他の農家のエビと区別するためにどのようにシグナリングを行うかを考察する。具体的には、農家の使用した稚エビ、投入財や養殖方法を登録できるウェブサイトを構築し、エビを購入する輸出業者にも閲覧可能とする。どのような農家がそのサイトに登録しシグナリングを行うのか、また参加後の養殖方法の変化や収益への影響、周囲への波及効果等を研究する。
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研究成果の概要 |
本研究では、世界的に成長を続ける養殖産業を対象に、同産業で長年課題となっている頻繁な病気の発生やそれを予防、対処するために農家が抗生剤を使用する行動をどう改善するかを考察した。どのような農家が水質の可視化というエビの質への投資を積極的に行うかを考察するため、水質計を使用した実験を行った。また、水路を介して養殖池に伝わる農業外部性や、近隣農家の行動が自分の行動にも影響するピア効果を定量的に可視化し、自分の行動や特性と同時に、近隣農家の病気発生やグッドプラクティスの導入が自分の養殖池の結果にも影響を与えていることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、どのような農家が質への投資を行うのかを8か月間にわたる頻繁な水質データを入手して考察する点に特徴がある。養殖農家、現地の関連団体、水質計とアプリを開発したインドネシアの企業他との連携無しでは実施できず、またその結果は直接的に同産業に政策含意をもたらす。さらに、エビ養殖を対象に養殖池レベルのデータを用いて、農業外部性が農家のプラクティスや病気発生に与えるメカニズムを実証した既往研究はなく、学術的貢献となる。
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