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占領下日本における優生政策のアメリカ・モデル

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0339
研究種目

国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))

配分区分基金
審査区分 小区分08010:社会学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

豊田 真穂  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20434821)

研究期間 (年度) 2020 – 2024
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
キーワード優生保護法 / 人口政策 / 優生学 / 生殖の管理 / グローバル史 / 断種法・断種/不妊手術 / 避妊・受胎調節・家族計画 / 中絶 / 純血 / 人工妊娠中絶 / 避妊 / アメリカの対日占領 / 優生政策 / 国際比較 / 女性解放 / 断種法 / 日本占領 / 戦後日本 / アメリカ占領 / 生殖コントロール
研究開始時の研究の概要

1948年の優生保護法は、これまで「ナチ断種法に影響を受けた戦時下の国民優生法を改正したもの」と理解されてきた。しかしこの法律は、なぜ①「戦後に」、なおかつ②「アメリカの占領下で」成立したのか。本国際共同研究は、この問いに答えるために、優生保護法を代表とする優生政策におけるアメリカの影響を「生殖の管理」という側面から実証的に明らかにする。その際、ナチ・ドイツのモデルがアメリカの断種法や優生学的な「純血」政策であったことに注目し、不妊手術/断種に限定せず、中絶や避妊も含めた生殖コントロールを対象とすることで、占領下の優生政策をグローバルな人口政策や優生学運動・純血政策のなかに位置づけたい。

研究実績の概要

優生保護法(1948-1996)は、過剰人口という戦後の課題を解決するために、ナチ断種法(1933年)に影響を受け、戦時下に成立した国民優生法の改正したものと理解されている。しかし、ナチ断種法が米カリフォルニア州断種法等を「モデル」としていたこと、人口問題は戦後世界におけるグローバル課題として戦時下から問題視されていたことなどを考えれば、日本の優生保護法は、優生学と人口政策をめぐるグローバルな歴史のなかに位置づける必要があるだろう。本国際共同研究は、当初は、戦後日本における優生政策のアメリカ・モデルを実証的に明らかにすることを検討していたが、研究をすすめる中で、さらにグローバルな展開にも拡大する必要が明らかになったため、アメリカだけでなく、イギリス、ドイツ、オーストラリア、韓国を専門とする共同研究者を加え、新たな優生保護法史を切り拓きたい。
これまでに、寺尾範野(イギリス)、Aiko Takeuchi-Demirci(日米)、有賀ゆうアニース(日本)、紀愛子(ドイツ)、小野直子(アメリカ)によるそれぞれの研究報告とその後のディスカッションを行うシリーズ「戦後優生政策の国際比較」の連続公開講座を実施した。その後、研究代表者は、2022年夏からコロンビア大学に滞在し、共同研究に関する打合せや、ロックフェラー文書センター、メリーランド大学プランゲ文庫、スタンフォード大学フーヴァー研究所などにおいて史料調査を行った。
2023年6月には、Matthew Connnelly、Sarah Kovner、Christine de Matos、Jaehwan Hyunらを東京に招へいし、早稲田大学で公開国際シンポジウムを開催した。優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)の共同代表・大橋由香子から有益なコメントをいただいた。また翌日には、国際共同研究のメンバー全員(12名)がそろって、共同研究の成果報告(出版)にむけたワークショップを実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の国際シンポジウムおよび国際ワークショップによる、国際共同研究の成果を2024年度中に出版する計画である。

今後の研究の推進方策

本年度中の研究成果の公表(出版)に際しては、日本語への翻訳だけでなく、事実関係の確認だけでなく、言葉の細かな選択においても、綿密なコミュニケーションが必要となり、各専門領域における知見に関して必要な校閲作業があるため、それらをそれぞれの専門家に依頼し、現著者とのやり取り等のコーディネイトを密にして、正確を期する計画である。特に、成果報告にかかわる最後の調整のため渡米し、最終的な研究打ち合わせと、どうしても確認しておきたい資料の調査を実施する予定である。
以上のような研究成果をまとめて、本年度中に研究成果を発表する見込みである。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [雑誌論文] 生理休暇について山川菊栄に聞いてみた2024

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 雑誌名

      『GRL Studies』

      巻: 第6号 ページ: 71-72

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国際シンポジウム「優生保護法のグローバル史」2024

    • 著者名/発表者名
      春藤優
    • 雑誌名

      『ジェンダー研究21』

      巻: 13 ページ: 139-144

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 座談会「人工妊娠中絶のゆくえ」2023

    • 著者名/発表者名
      土屋和代 [司会]・大串尚代 [発表者]・豊田真穂 [発表者]・渡辺将人 [発表者]
    • 雑誌名

      アメリカ研究

      巻: 57 号: 0 ページ: 1-27

    • DOI

      10.11380/americanreview.57.0_1

    • ISSN
      0387-2815, 1884-782X
    • 年月日
      2023-03-25
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「『尚道遠し』:1950 年代常磐炭礦における受胎調節指導とその成果」2022

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂・嶋﨑尚子
    • 雑誌名

      『総合人文科学研究センター研究誌 WASEDA RILAS JOURNAL』

      巻: 第10号 ページ: 95-107

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「中絶から避妊へ:戦後日本における生殖コントロール方法のシフトとアメリカの影響」2021

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 雑誌名

      『歴史学研究』

      巻: 1007 ページ: 120-129

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「優生学・優生政策・優生思想」2020

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 雑誌名

      『ジェンダー史学』

      巻: 16 ページ: 43-47

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 生理休暇を考える2023

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 学会等名
      名古屋大学ジェンダーリサーチライブラリ・ブックセミナー「未来から来たフェミニスト 山川菊栄と再会する」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] "Eugenic Protection Laws: Enacted in Japan and Suspended in Okinawa"2022

    • 著者名/発表者名
      Maho Toyoda
    • 学会等名
      The Modern East Asia: Japan Seminar, Columbia University, November 16, 2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Sterilization Law in the U.S. Occupation of Japan, 1945-522021

    • 著者名/発表者名
      Maho Toyoda
    • 学会等名
      Workshop, August 26, 2021, online.
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「リベラルな優生学」にむけて:家族政策をめぐる戦間期イギリス優生学協会の思想と実践 」2021

    • 著者名/発表者名
      寺尾範野
    • 学会等名
      早稲田大学総合人文科学研究センター「境界の溶解と再編をめぐる学際的研究」部門2021 年度公開研究会第 1 回(2022年10月15日)オンライン
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「戦後ドイツにおける「遺伝病子孫予防法」と人類遺伝学 :アメリカとの関係に着目して」2021

    • 著者名/発表者名
      紀愛子
    • 学会等名
      早稲田大学総合人文科学研究センター「境界の溶解と再編をめぐる学際的研究」部門2021 年度公開研究会第2回(2021年12月10日)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「雑婚なき同化:米国日系移民排斥運動を背景に想像/創造された民族の境界」2021

    • 著者名/発表者名
      竹内愛子
    • 学会等名
      総合人文科学研究センター研究部門 現代社会における「想像力」の総合的研究 2021 年度第 4 回研究会(2021年12月19日)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「「混血児」をめぐる人種的想像力と教育権の限界:神奈川県における入学拒否事件をめぐって」2021

    • 著者名/発表者名
      有賀ゆうアニース
    • 学会等名
      総合人文科学研究センター研究部門 現代社会における「想像力」の総合的研究 2021 年度第 4 回研究会(2021年12月19日)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 「山川菊栄の生理休暇論」『未来から来たフェミニスト-北村兼子と山川菊栄』(分担執筆; 274-283頁)2023

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      花束書房
    • ISBN
      9784991248917
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「戦後改革と家族」日本家族社会学会編『家族社会学事典』(分担執筆; 248-249頁)2023

    • 著者名/発表者名
      豊田真穂
    • 総ページ数
      754
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621308349
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 国際シンポジウム「優生保護法のグローバル史」

    • URL

      https://eugenicprotectionlaw.peatix.com/?lang=en-my

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] 国際シンポジウム「優生保護法のグローバル史」2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会・シンポジウム開催] 国際ワークショップ「優生保護法のグローバル史」2023

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-02-06   更新日: 2024-12-25  

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