研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
2015年頃に光電子分析器に技術革命がおきた。従来の分析器によって一度に取り込める光電子はせいぜい1次元のスリットに入射するものであったが、このスリットないしその概念がなくなったものが登場し、2次元の立体角に放出される光電子を一度に取り込むことが可能となった。このスリットレス分析器にレーザー光源を組み込むことで、新しい時間分解光電子分光装置を建設する。スリットレス化によって初めて可能となる非線形光電子現象の探索や超高速非平衡現象の精査を実現する。
ソウル大学にあるISSP-CCES共同ラボにて以下を達成した:(1) 2台の時間分解能ARPESシステムを共同ラボへ移設した。(2) 通常の実験室環境でも安定に動作するフェムト秒域レーザー高調波光源を開発した。この光源をスリットレス光電子分析器に組みこみ、従来を1-2桁上回る精度で仕事関数を測定する新手法を実証した。(3) スリットレス分析器と円偏光レーザー高調波を用いて光電子立体角分布における円二色性を調べ、そのパターンの分類法を網羅した。(4)小型第2高調波検出器を開発し、遷移金属カルコゲナイドの一次相転移を観察した。(5) 手のひらサイズの1 MHzフェムト秒域パルスレーザを開発した。
本課題で得られた成果は、超高速分光学、レーザー技術、材料科学の領域に渡って意義をもち、ISSP-CCESの共同ラボにおけるさらなる国際共同研究を促進する。本研究期間中に開発した小型で汎用性のあるフェムト秒域パルスレーザー光源や装置は、光電子分光に限らず様々な科学・技術分野で進歩とイノベーションを推進すると期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 備考 (1件)
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