研究課題/領域番号 |
19KK0381
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
城崎 由紀 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40533956)
|
研究期間 (年度) |
2020 – 2023
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
|
キーワード | 神経再生 / ケイ素化合物 / シュワン細 / マウス後根神経節 / モーター細胞 / ヒドロゲル / シュワン細胞 / キトサン / ケイ素 / 培養マトリックス / 神経細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ケイ素化学種の分子構造の解明とその構造が神経細胞および神経組織に及ぼす影響を明らかにし,新規神経再生用足場と新たなDRG培養用マトリックスとなるヒドロゲルを創製することを目的とする。工学-医学分野の横断によって,神経再生分野で応用する為のケイ素化合物を主とした新規材料設計指針の確立を目指す。特に,神経細胞(NSC34)とマウス後根神経節を用いたin vivo評価法を用いケイ素化合物による神経再生への影響を明らかにする。また本研究から得られる材料設計指針を基に,DRG培養用新規マトリックスを創製し,in vitro評価用材料の開発も行う。
|
研究成果の概要 |
ケイ素は人体に必須の微量元素であり,結合組織中ではオルトケイ酸として存在している。さまざまなシランカップリング剤,またはシリコンアルコキシドを使用し,キトサン-シロキサン複合体を作製した。複合体からのケイ素を含む分解物の構造は,飛行時間型質量分析法で調べ,生物学的評価は骨芽細胞,神経細胞,およびマウス後根神経節によって実施した。ケイ素を含む分解物の構造は出発組成に依存し,高分子量の分解物は,グリア細胞の増殖を抑制し,マウス後根神経節の神経突起伸展は,低分子量の分解物によって促進された。これらの結果は,異なる構造のケイ素化合物が,それぞれの神経細胞・組織に対して異なる効果を示すことを示唆した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
骨芽細胞の活性・分化や骨組織の再生に対するケイ素濃度の影響のみを議論している限り,シロキサン構造を有する足場材料に関して新しい材料設計指針を打ち立てることはできない。本研究成果から,シロキサン結合を含む複合体から溶出したケイ素化合物の構造を飛行時間型質量分析法によって,予測できることを示唆した。この構造の違いは,骨芽細胞の増殖・活性に大きく寄与した。一方,神経細胞の場合には,骨芽細胞ほど,構造の違いに対する細胞応答性は観察されなかった。このようなケイ素化合物の構造状態と細胞応答性の結果は,新しい材料設計指針および安全性の指標となり得る。
|