研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
植物病原糸状菌はエフェクターと呼ばれる小分子分泌性タンパク 質を駆使することで感染を成立させる。近年、これらエフェクターがExtracellular vesicle(EV)を介して 分泌される可能性が示唆された。EVは細胞が分泌する膜小胞であり、シグナル分子 を運搬することで細胞間コミュニケーションを担うが、EV分泌に寄与するメカニズムは不明な点が多い。申請者はこれまでに、エフェクター分泌を阻害する複数の化合物を同定している。この化合物の中から、EV分泌を阻害するものを探索し、ケミカルバイオロジー的手法を用いて、植物病原糸状菌のEV分泌メカニズムを解明する。
Richard O'Connell博士との共同研究により、大きく3つの結果が得られた。まず第一に、申請者が基課題で同定したエフェクター分泌阻害効果を持つ化合物の作用標的が、EV分泌機構ではない可能性が示唆された。第二に、植物病原糸状菌であるアブラナ科炭疽病菌において新技術を確立し、国際共著論文として国際誌への発表に至った。第三に、上記の技術を用い、炭疽病菌の病原性に寄与する重要な因子の機能解明が可能となり、その成果を2024年度中に国際共著論文として投稿予定である。また、その成果の一部は特許申請予定である。以上のように、本支援は複数の原著論文、特許申請、及び継続した共同研究体制として結実した。
植物病原糸状菌は、多大な作物被害を引き起こすため、その病原性メカニズムを理解することは食糧の安全保障上、重要である。この研究では、植物病原糸状菌の病原性メカニズムを解明するためのゲノム編集技術と解析技術の開発が実現した。これらの成果は、炭疽病菌の病原性メカニズムの理解に貢献し、実際に申請者の三報の筆頭著者論文として結実し、2024年度中にさらに一報を報告する予定である。これらの結果は、病原性メカニズムの理解とそれを利用した植物病原糸状菌による作物被害の技術開発への寄与が期待できる
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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