研究課題/領域番号 |
19KK0404
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
渡辺 雅人 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (00458902)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 喘息 / 好中球 / IL-33 / sST2 / ST2 / Intravital microscopy / 生体イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、炎症物質のIL-33が炎症細胞の好中球を肺内に引き寄せることが、難治性喘息の一因であることを発見しました。また、sST2という物質がIL-33の作用を抑えることを見つけました。そこで、sST2の吸入療法が難治性喘息の新たな治療法になるのではないかと考えました。これを証明するために、カルガリー大学で生体顕微鏡の技術を研究しているBryan G Yipp先生と共同研究を行います。我々が喘息マウスモデルを作り、Bryan先生が肺内の好中球をリアルタイムで可視化します。これにより、難治性喘息を引き起こすメカニズムを解明し、sST2吸入療法の有効性を検討します。
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研究実績の概要 |
2022年8月22日にカルガリーに渡航し、9月1日からカルガリー大学で研究を開始した。カルガリー大学では、以下の実験を行った。 (1) 好中球性喘息のモデルとして、マウスにAlternaria alternataを4日間吸入させ、2型気道炎症を起こさせた。アルテルナリアは喘息の原因となる真菌で、肺胞内にIL-33を放出させる。アルテルナリア吸入モデルで、気管支肺胞洗浄液中に好中球、IL-33やIL-13が放出されることを確認した。よって、本モデルは、好中球性喘息に類似した気道炎症を起こす。 (2) カルガリー大学では、生体顕微鏡 (intravital microscopy)を用いて、肺内の好中球の役割を解析することを試みた。好中球レポーターマウスにAlternariaを吸入させ、24時間後に肺内の好中球の動きを可視化した。Alternariaの吸入後に肺内の好中球が活性化すること、肺胞マクロファージと相互作用を起こすことを確認した。肺胞マクロファージは、抗Siglec-F抗体を吸入させて染色した。なお、生体内顕微鏡を使用するために、マウスの頚静脈にカテーテルを挿入し、気管切開後に人工呼吸器を装着し、開窓術を行った後に顕微鏡のチャンバーを挿入して肺内の細胞を可視化した。これらの手技のトレーニングに2か月程度を要した。また、肺内の好中球のうち、肺胞内に存在する好中球を特異的に染色するために、抗好中球抗体(抗Ly6G抗体)を経気管投与して染色する方法を試みた。しかし、抗体が結合した好中球をマクロファージが貪食(エフェロサイトーシス)したために旨くいかなかった。最終的に、好中球レポーターマウスを用いる方法を使うことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
渡航時期が遅れた。 生体顕微鏡で好中球を可視化するための手技のトレーニング、細胞の染色条件の検討に2から3か月を要した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) Alternaria吸入モデルでの好中球の役割を解析するために、抗好中球抗体 (抗Ly6G抗体)で好中球をdepleteする。これにより、好中球が肺内でのIL-33やIL-13といった、喘息の病態に重要なサイトカインの放出に関与するかを解析する。 (2) 生体顕微鏡で、肺内での好中球の動きを観察する。Alternaria吸入後の肺内の好中球の形態、移動速度、他の細胞との相互作用 (マクロファージとの相互作用に頻度、持続時間)などを解析する。肺胞マクロファージはIL-33を放出する細胞であることから、好中球とマクロファージの相互作用が、肺内のIL-33放出に関与するかを解析する。
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