研究課題/領域番号 |
19KK0404
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
渡辺 雅人 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (00458902)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | Asthma / Neutrophil / IL-33 / sST2 / ST2 / Intravital microscopy / 喘息 / 好中球 / 生体イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、炎症物質のIL-33が炎症細胞の好中球を肺内に引き寄せることが、難治性喘息の一因であることを発見しました。また、sST2という物質がIL-33の作用を抑えることを見つけました。そこで、sST2の吸入療法が難治性喘息の新たな治療法になるのではないかと考えました。これを証明するために、カルガリー大学で生体顕微鏡の技術を研究しているBryan G Yipp先生と共同研究を行います。我々が喘息マウスモデルを作り、Bryan先生が肺内の好中球をリアルタイムで可視化します。これにより、難治性喘息を引き起こすメカニズムを解明し、sST2吸入療法の有効性を検討します。
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研究成果の概要 |
予備実験として、IL-33と可用性ST2をマウスに吸入させた。予想外に、sST2はIL-33をキャリアプロテインとして働き好中球性気道炎症を増強したため国際誌に報告した。 渡航後は、生きたマウスの肺内で好中球の機能を解析することに注力した。アルテルナリアの喘息モデルでは、肺微小血管内の好中球の数と活動性が増加していた。好中球は恒常的に血小板と相互作用をしており、好中球喘息モデルでは相互作用が増加していた。好中球は頻繁に血管内と肺胞内を移動し、肺胞マクロファージと相互作用していた。この現象は、定常状態・好中球性喘息モデルの両方で確認したが、好中球喘息モデルでは、相互作用の持続時間が短かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
sST2はヒトの肺内でIL-33と複合体を作り、好中球性気道炎症を増強する。IL-33-sST2複合体は炎症物質であり、治療ターゲットの候補である。 好中球性喘息モデルでは、血管内の好中球の数、移動性が増えている。好中球性喘息モデルでは血管内に好中球-血小板体複合体の数が増加した。アスピリン喘息患者では、この複合体がロイコトリエンを産生するため、この複合体が好中球性喘息の治療ターゲットの可能性がある。好中球が血管内と肺胞内の移動を繰り返し、マクロファージと相互作用することは、予想外の現象である。肺の恒常性維持のメカニズムの理解するうえで、パラダイムシフトを起こす可能性がある。
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