研究課題/領域番号 |
19KK0410
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
井上 泰輝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (00806408)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
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キーワード | 脳アミロイド血管症 / アミロイドβ / アミロイドーシス / αエノラーゼ / 脳出血 / 認知症 / 脳アミロイドーシス / アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化社会を迎え脳アミロイド血管症 (CAA)による認知症、脳出血に罹患する患者がさらに増加することは確実である。しかし、その治療法はおろか、研究開発は不十分である。本研究では、人体最大の臓器である血管系の分子機構に焦点を充てた研究を行い、CAAのみならずアルツハイマー病(AD) などの治療法の開発を目指す。昨今、Aβの最終排出経路として脳血管周囲ドレナージ経路の重要性が指摘され、脳血管に焦点を充てた研究が広く神経疾患の治療開発の糸口になる可能性が示されている。申請者は脳血管におけるα-エノラーゼとLRP-1に焦点を充てた研究を展開し、脳血管指向型の新しい神経疾患の治療開発を展開する。
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研究実績の概要 |
In vitroでの研究で、α-エノラーゼがAβの線維形成反応を阻害し、その細胞毒性を軽減することを見出した。次に、α-エノラーゼがAβによる細胞毒性を制御する機構を解明すべく、複数のプロテアーゼ阻害剤を用いた研究を実施し、セリンプロテアーゼ阻害作用がα-エノラーゼのAβ線維形成阻害に寄与していることを特定した。透過型電子顕微鏡を用いた形態学的解析においても、Aβ線維形成阻害作用が観察された。さらに、α-エノラーゼをCAA/ADトランスジェニックマウスの脳実質内に持続投与したところ、脳血管や脳実質へのAβの沈着が減少した。Y迷路試験では空間作業記憶が改善した。一方で、酵素活性を失活させたα-エノラーゼでは、Aβ沈着の減少や認知機能の改善は見られず、酵素活性がAβの分解に重要であることを示した。この理由として、CAA/ADトランスジェニックマウスの脳実質では、α-エノラーゼがニトロシル化されており、In vitroにおいてα-エノラーゼの活性がニトロシル化によって減弱することも証明した。このことは、α-エノラーゼの酵素活性を高く維持することがCAA/ADの治療ターゲットとなりうることを示した。これらの結果を受け、申請者は海外所属先のブレインバンクを利用し、α-エノラーゼ濃度、活性の検討を行うこととした。検体取得、およびサンプル調整に時間を要し、研究実施期間中にデータ解析を完遂することはできなかったが、完了し次第、学会発表、論文発表を行う予定である。
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