研究課題/領域番号 |
19KK0420
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生物分子化学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
臼杵 豊展 上智大学, 理工学部, 教授 (50514535)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | desmosine / エラスチン / 質量分析 / バイオマーカー / LC-MS/MS |
研究開始時の研究の概要 |
弾性線維エラスチンの弾性・伸縮性に寄与するアミノ酸desmosine類を中心とした架橋部位の周辺構造は未解明である。本研究では、基課題における合成した環状ペプチド型desmosine類を用い、海外共同研究先のLC-MS/MS装置を利用して、合成品、天然のエラスチンを酵素分解処理した試料、さらにはエラスチンの分解をともなう慢性閉塞性肺疾患(COPD)由来の試料について、desmosineを含む架橋構造の同定・解析を推進する。本国際共同研究によって、これまで長い間謎であったエラスチン三次元架橋構造を解明し、COPDの新たなバイオマーカーを発見する。
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研究実績の概要 |
弾性線維エラスチンは、786アミノ酸残基のトロポエラスチン単量体の間の複雑な架橋による多量体であるが、エラスチンの弾性・伸縮性に寄与するアミノ酸desmosine類を中心とした架橋部位の周辺構造は未解明である。本研究では、基課題における有機合成化学を基盤として調製できる環状ペプチド型desmosine類を用いることとする。そして、海外共同研究先に設置のLC-MS/MSを利用して、合成した環状desmosineペプチド、天然のエラスチンを酵素分解処理した試料、さらにはエラスチンの分解をともなう慢性閉塞性肺疾患(COPD)由来の試料について、フラグメンテーションや保持時間を詳細に解析することにより、desmosineを含む架橋構造の同定・解析を推進する。 前年度までに、環状ペプチド型desmosineの他の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を達成した。この化合物は、desmosineを中心骨格とし、アラニンとセリンによる1つまたは2つのトリペプチドを有する大環状ペプチドである。 当該年度においては、応募者の研究グループで継続的に環状ペプチドの合成を推進した。海外共同研究先において、質量分析を継続的に遂行した。さらに、環状ペプチドの原料となるアミノ酸の合成に成功した。アラニンとセリンによる1つの大環状ペプチドの合成にも成功した。 今後、さらに合成と質量分析を進めることで、エラスチン架橋構造の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある程度の成果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、基課題および前年度までに達成している環状ペプチド型desmosineに対して、別の構造をもつ環状ペプチドの化学合成を推進する。すなわち、ピリジニウム骨格に対して「知恵の輪」構造をもつペプチド化合物の合成を目指す。国際共同研究は引き続き続けることで、LC-MS/MS解析を推進する。残りの渡航予定は、現在の世界情勢を見据えて判断していく。
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