研究課題/領域番号 |
19KT0003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
オラリティと社会
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
榎本 美香 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (10454141)
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研究分担者 |
傳 康晴 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70291458)
寺岡 丈博 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30617329)
高梨 克也 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30423049)
阿部 廣二 東京都立大学, 大学教育センター, 特任助教 (60817188)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 共同体〈心体知〉 / 無形文化伝承 / 身体的相互作用 / 共在感覚 / 口承文化の科学 / 集合的心性 / 協同身体技法 / 共有知識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、祭りを伝承する者たちが共同体〈心体知〉を体現する中で、成員相互に生まれる共在感覚のあり方を解明する。 〈心〉使命感や志、先達への敬意や後継者への情愛といった集合的心性 〈体〉物の操作において適切に他者との力配分や力の掛け方が調整できる協同身体技法 〈知〉木材や縄結びの呼称といった共有知識 核となるのは〈体〉である。〈体〉は実演と口頭での教示されるが,それが後継者の身体運動に紐づき〈体〉となる。そして、〈体〉を得る中で、どこまで手をかけるかといった〈心〉や結び目や木材の呼称といった〈知〉も伝えられる。共同体〈心体知〉の習得を通じて,自他の境界を超えた共在感覚が芽生えることを示す。
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研究実績の概要 |
当該年度は以下の2つを実施した。 1.祭りの支度場面データの収録・整備(全員):長野県野沢温泉村で行われる道祖神祭り(1/15)と湯澤神社例祭(9/8, 9)の担い手である「三夜講」(数え42歳に連なる3年代)の祭りの支度場面を映像収録する。昨年、一昨年はコロナの影響で祭り自体が中止になったり、規模をかなり縮小しての実施であった。今年度は2022年9月の例祭も2023年1月の道祖神祭りも、ほぼコロナ前と同様に実施されたため、再び撮影を行うことができた。2年間の空白を経て伝統が途絶えたかというとそんなことはほとんど無かったが、そのためには保存会や三夜講を追えた先輩たちの協力があった。その点についても今後分析を進めていく必要がある。 2. 共同体〈心体知〉の体現過程の分析:これまで研究業績を集約した本の執筆を行った。本の構成は以下である。1章. 研究開始にいたる流れ(榎本)、2章. 野沢温泉「三夜講」の仕組み(伝)、3章. 見習いから世話人への経時的な共同体〈心体知〉の学習(榎本)、4章. 伝統の遵守と臨機応変(阿部)、5章. 里曳きにみる掛け声(細馬)、6章. 猿田彦の舞にある技の経時的学習(寺岡)、7章. 縄結びの美しさと頑丈さの学習(坊農)、8章. 木を操作する道具の経験の共有(高梨)、9章. 屋外での会話の身体配置(伝)、10章. 立ち話にみる共在の構え(坂井田)。現在構成中で、次年度中に出版する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、2020年9月から2022年1月まで祭りがほとんど行われていなかった。今年度は復活したが、経年的変化が追えていない。このため、研究がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本来であれば、2020年、2021年、2022年の3年間を通して、三夜講の人々がどのように共同体〈心体知〉を経年的に獲得していくかを分析する予定であった。しかし、コロナのため2020年9月から2022年1月まで祭りがほとんど行われていなかった。今年度は復活したが、経年的変化が追えていない。そこで、2022年9月からコロナ前の祭りが復活しているため、2022年、2023年の2年でどのような変化が起こるのか、研究年を延長して、経時的変化を追う予定である。
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