研究課題/領域番号 |
19KT0006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
次世代の農資源利用
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂巻 隆史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60542074)
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研究分担者 |
林 俊介 法政大学, 理工学部, 教授 (20444482)
藤林 恵 九州大学, 工学研究院, 助教 (70552397)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | カキ養殖 / 付着生物対策 / 養殖サイクル / 脂肪酸組成分析 / 内湾環境 / 無給餌養殖 / 複合型養殖 / 有機物動態 / 内湾生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
1) 志津川湾内の複数ゾーンにおける栄養塩・有機物動態パターンの調査,2) 物質動態の違いが養殖生物各種の成長や生残に及ぼす影響および各種養殖生物の栄養・餌料要求の調査,3)世帯レベルで漁業者が複合型養殖の施業形態を決める社会的・経済的要因(世帯労働力,求める収入,技能等)の調査を実施する.これらの情報をもとに,持続的な施業の観点から同一の内湾域において複数生物種を適正に養殖する条件を明らかにする.
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研究実績の概要 |
1)志津川湾内のカキ養殖場で実施されている付着生物除去とカキの生育促進のための温湯処理について,2019年9月から約5か月にわたって実施した現地実験からのデータ解析を継続して行った.特に,養殖場内で海底に沈降する排泄物や付着物由来の有機物のフラックスが温湯処理によって大きく削減できることを示した.その削減量は,処理過程でカギ殻表面からの付着物等の洗い流しなどによって放出される有機物量を含めても,十分に大きいことも示された.さらに,有機物収支の推定から,温湯処理によって,養殖場内の有機物フローも大きく変化し,カキへの餌料となる有機物の分配効率が大きく高められることを示した. 2)カキに対する代表的付着生物であるムラサキイガイの相対的な付着バイオマス割合を変化させた飼育実験を実施した.その結果,イガイ割合の上昇に伴って,カキ体内のEPA含有量の低下を含む脂肪酸組成の変化がみられた.また,カキとイガイの競合関係をモデル化するのに必要となる,摂餌や排泄に関わる各種パラメータの定量化を合わせて行った. 3)志津川湾において継続的に海域観測を行った.特に,湾内複数地点における粒状有機物の化学組成の季節サイクル,および河口部を中心とした河川水流入やそれに応答する植物プランクトンの消長に関して,モデル解析に必要となる定量データの集積を行った. 4)カキ養殖の生産効率向上の支援ツール開発と位置付けて,カキの生育過程における成長速度の変化と生息密度の変化による生育への影響を加味して稚ガキ投入や収穫時期・量の最適条件を探索するモデル構築の作業を継続して行った.今年度は特に,同モデルに,カキ成長過程を記述するためのDynamic Energy Budget(DEB)モデルを結合させる作業を行った.あわせて,既往知見や志津川湾における実測データから,同モデルの運用に必要となる各種パラメータを決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に2020年度のコロナに伴う調査の遅れの影響により,データ解析・モデル化の作業が当初予定より遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
1) 2022年度に実施した飼育実験からの試料分析やデータ解析を進め,カキ生育や水産物としての品質に対する付着イガイの影響を多面的に評価する. 2) 現場調査を継続的に実施するとともに取得データの解析を進め,志津川湾の各種養殖漁場における有機物動態の特性を明らかにするとともに,各種養殖生物種の養殖環境としての適正の評価を行う. 3) 数理最適化モデルの構築と運用を進め,志津川湾を対象として,複合型養殖における養殖生物種の配置や施業サイクルを,生産基盤としての湾内環境の保全や漁業者の収益等に照らして,適正化・最適化条件を検討する.
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