研究課題/領域番号 |
19KT0020
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
情報社会におけるトラスト
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒川 豊 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (30424203)
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研究分担者 |
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40273396)
林 優一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60551918)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | IoT / トラスト / セキュリティ / プライバシー / 差分プライバシー / 通信トラヒック分析 / 行動認識 / 電磁波解析 / 通信トラフィック分析 / 電磁情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,急速に広がるIoT機器を安心して利用するために,情報機器に対するトラストを構築する手段を提供することである.そのために通信情報や電磁情報から機器やプロトコルを識別し,正常動作時と異常動作時を判定するIoT活動量計を実現する.最終的には,多種多様なIoT機器を網羅するために,クラウド側のデータベースを含めてプラットフォーム化し,複数の家庭に設置したIoT活動量計から,データを収集,共有する仕組みを実現する.この一環で,機器ベンダーが正常系の通信を登録できる仕組みもプラットフォームの中に組み込むことで,ユーザによる情報登録をさらに低減し,実用性を高める.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、急速に広がるIoT機器を安心して利用するために、情報機器に対するトラストを構築する手段を提供することである。IoT機器は設置時の初期設 定以外はほとんどユーザが中身を考えなくて良いように設計されている。その結果高い利便性と引き換えに動作はブラックボックス化しておりどのような機能が どのようなタイミングで動作してどのようなデータがインターネット上に送られているのか把握することは難しい。 その問題に対して、我々はIoT機器の入出力 を監視しそこから得られる情報から機器の動作を推定することを目指している。 2022年度は、昨年度、VyOSをベースに構築したIoT機器の通信監視および作動アプリケーション認識システムについて、評価を行い、ジャーナル論文を執筆し、採択された。また、その内容を国際会議および国内会議でも発表し、国際会議ABC2022において、Excellent Paper Awardを受賞した。 IoT機器のトラヒックから機能を推定できるということは、悪意のある使い方をすれば、家庭内のIoTセンサの情報から個人の行動が透けて見える可能性がある。そこで、このようなプライバシー上の問題を解決することを目的として、差分プライバシーに関する研究に取り組んだ。プライバシー保護と行動認識精度は、トレードオフの関係にあるため、精度を可能な限り維持した上で、個人を特定されないようにする手法を検討した。そして、行動認識に用いる機械学習における特徴量寄与度に重みを変更した差分プライバシー手法を提案し、国内及び国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、家庭内で怪しい動作をしているIoT機器やその機能を検出することだけを目的としており、その目的に対しては、理論のみならず、VyOSを用いた実装、評価を完了し、英文ジャーナルにも採択され、計画通りに目標を達成した。
行動認識精度とプライバシー保護の両立については、当初計画には含まれていなかったが、トラヒック分析だけでIoT機器の動作状況が概ねわかるということは、IoTセンサを用いた家庭内行動認識においても、同様に行動がわかることを意味しており、プライバシー保護も重要であると考え、差分プライバシーに関する研究も開始した。半年間で、国内会議だけではなく、国際会議にも採択され、発表を終えるなど、こちらについても良い研究成果が生まれており、全体として、当初の計画以上に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
7月に開催されるデータマネジメントに関する難関国際会議MDM2023に、差分プライバシーに関する研究が採択されている。今後は、IoT機器の不正動作を検出すると同時に、ユーザのプライバシーを守る点も両立するシステムを構築していく。
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