研究課題/領域番号 |
19KT0025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
オラリティと社会
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10177230)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | クレオル / 民話 / オラリティ / レユニオン / オントロジー / インド洋西域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,インド洋西域島嶼世界で現在でも語りの実践が盛んなクレオル民話を研究対象として取り上げ,民族的・文化的混淆に基づくクレオル性が民話のオラリティにどのように関与しているのかを,文字・音声・映像による民話テキストの精査を通して語り手と聴き手の間の音声・身体レベルの相互コミュニケーションに見られるクレオル民話の口演に特有の表現を抽出・分析することによって明らかにする。
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研究実績の概要 |
インド洋西域のレユニオン島で採取したレユニオン・クレオル語による民話について前年度に引き続き,語られたテキストを物語世界における事物に関わる要素と,それ以外の,語り手特有の表現に関わる要素,すなわちオラリティに関わる要素に二分し,双方の要素が語り手ごとにどのような分布を示しているか分析を行った。さらに,語り手特有の表現に関わる要素を「ローカル性」,「現前性」,「修辞性」,「音楽性」の4種の下位カテゴリーに再分類し,語り手ごとにテキスト内におけるそれらの分布及び連鎖構造の計量的分析を行い,語り手のスタイルを比較した。 その分析結果を「民話の語りにおける物語要素の分布と連鎖に基づく語り手のスタイルの比較-インド洋レユニオン島の事例」というタイトルの論考として2022年6月に開催された人工知能学会全国大会に投稿し査読を経て採択された。 次いで,その論考で報告した語り手のスタイル比較について,8月に現地のレユニオン島で調査を行い,分析結果を現地の語り手にフィードバックすることによって幾つかの新たな知見を得た。その現地調査については,9月に開催された人工知能学会ことば工学研究会において「動的計画法によるレユニオン民話の語り手のスタイル分析と語り手へのフィードバック」というタイトルで報告を行った。 また,それらの分析に用いたツール群の有効性についての歴史的検証に関する論考を海外の複数の研究者と共に執筆し,民話研究では国際的に最も権威のある学術雑誌Fabulaに投稿し査読を経て採択され,当該論考は2023年6月に刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レユニオン・クレオル民話における民俗語彙や定型表現に関する現地調査をほぼ2年半ぶりに実施することができ,また語り手と聴き手の間の音声及び身体レベルの相互コミュニケーションに見られる修辞的表現やクレオル民話の口演に特有の表現を抽出したが,それらを構成要素とする「クレオル民話オラリティ・オントロジー」の体系化には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
民話キストからこれまでに抽出したオラリティに関わる諸要素をもとに「クレオル民話オラリティ・オントロジー」を試作し,オントロジーの各要素が個々の物語においてどのように組み合わされているかをネットワーク構造で可視化することを試み,さらにそれらの結合過程の模倣的再現によってクレオル民話におけるオラリティの多義的な共在性を捉えることを目的とする。また,採取したインド洋のクレオル民話のうち未刊行のテキストを刊行する。
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