研究課題/領域番号 |
19KT0026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
オラリティと社会
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小林 多寿子 一橋大学, 名誉教授 (50198793)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自己語り / オーラル・コミュニティ / 交話機能 / 共在性 / 世代継承性 / オーラル・コミュニケーション / オーラルヒストリー / オーラルコミュニティ / ライフストーリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自己語りの実践をとおして形成されるオーラル・コミュニティの実際をとらえ、とくに自己を語る際のオーラル・コミュニケーションが人と人とのつながりを生成する交話機能をもつこととオーラルヒストリーを共有することによる世代継承性についてあきらかにする。現代日本において高齢化や災害による困難に直面するなかで、持続的なオーラル・コミュニケーションがもたらす交話機能と自己語りに包含される「近い過去の歴史」が地域の歴史の再構築へのオーラル・リソースになりうることを地域の事例から描きだすことで地域社会におけるオラリティの実践とその意義を社会学的に解明することを目的としている。
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研究成果の概要 |
本研究は、自己語りの実践とコミュニティ形成を事例調査し、オーラル・コミュニケーションが人と人との繋がりを生成する交話機能やオーラルヒストリーの共有による地域の歴史の構築と世代継承性の実際について、大震災・原発事故後に過疎化の進む地域の実態を通して明らかにした。 本研究は、1参与型フィールドワークとライフストーリー・インタビュー、2ドキュメントの収集と分析、3 エスノグラフィ的記述手法という三つの質的アプローチにより、オーラル・コミュニケーションによる交話機能を生かした地域コミュニティの再生、自己語りの実践やオーラル・コミュニケーションが地域の歴史再構築へのリソースとなることを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、自己語りが歴史性を含み、集合的な共有で歴史化への契機となること、オラリティのもつ交話機能がコミュニティ再生へ果たす役割を具体的に描き出した点において社会学的意義がある。地域コミュニティにおけるオラリティの有効性の解明はオーラルヒストリーの社会学的研究にとって新たな成果となった。東日本大震災・原発事故後の地域荒廃という厳しい困難を抱える地域におけるオーラル・コミュニケーションを通して人びとの繋がりを回復しコミュニティ再形成をめざす活動は、現代日本の地方社会に共通する過疎化や高齢化、災害による困難等のなかで地域に生きる人たちにも共有される問題の探究として汎用性のある社会的意義がある。
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