研究概要 |
抗がんアジュバント機能をMyD88-/-,TICAM-1-/-,IPS-1-/-のKOマウス移植がんの系で査定した。がん抗原としてB16特異ペプチドか破壊細胞を予防的に用いた。BCGペプチドグリカン(TLR2agonist)がMyD88依存性にCTL誘導とがん退縮を誘起したのに対し、polyI:C(TLR3 agonist)はTICAM-1依存性にCTL誘導を惹起した。従って、抗がんCTLはがん抗原特異的にTLR2, TLR3のいずれの刺激でも誘導された。一方、抗がんNK細胞はアジュバントの治療的投与で誘導された。polyI:Cは腫瘍退縮を誘導したが、ペプチドグリカン,リポペプチドは腫瘍退縮を起動しなかった。この理由を考察中である。他の腫瘍系でもアジュバントの抗がん効果が見られるかもテストしている。一方、発がんのプロモーターとしてのTLR agonist活性は移植がんの系では査定できなかった。現在自然発生がんのモデルを作成中である。PolyI:Cによる腫瘍退縮はNKによるものと査定されて来たが(Akazawa et al., PNAS 2007)、早期の発がん過程にNK細胞は腫瘍内に同定されずmyeloid系の細胞のみが検知できた。これらががん細胞に炎症応答を誘起している可能性について検討している。 2.毒性の少ないRNA誘導体:PolyI:Cをエンドソーム標的型に改変する作業を行い、いくつかの合成RNA誘導体でエンドソームTLR3特異的な樹状細胞活性化が起きることを確認した。IPS-1経路の活性化は極少に抑えられるので全身性の副作用を回避したアジュバント剤型を作製しうる。
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