研究課題/領域番号 |
20012033
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松井 利充 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (10219371)
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研究分担者 |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
2009年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2008年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | TFL / ZC3H12D / リンパ腫 / P-body / 多段階発癌 / p58 / アポトーシス / 癌抑制遺伝子 / がん抑制遺伝子 / リンパ球 / 細胞周期 / 悪性リンパ腫 / 白血病 |
研究概要 |
悪性リンパ腫関連遺伝子としてBcl-2、c-myc等も染色体転座より同定されてきたが、これらの単独異常では腫瘍を発症せず、治療の標的となりうる原因遺伝子の探索が重要である。患者検体から見出された稀な染色体転座の解析が、がん細胞に普遍的な潜在的変異の発見につながる事がある。私達は、濾胞型リンパ腫から彌慢性リンパ腫へと悪性度が進展する際に新たに加わったt(2;6)転座症例より、新しいTumor Suppressor、TFL(p58とp36)を同定した。TFLは第6番染色体のZC3H12Dにコードされ、C3H型Zn-fingerモチーフを有する他の3つの遺伝子とファミリーを形成している。驚くべきことにこれら4つの遺伝子座は、リンパ腫における遺伝子欠失領域の網羅的解析結果と一致している。事実ZC3H12Dは、悪性リンパ腫の18%に欠失が確認でき、そのSNPと肺癌発症の関連も報告されている。TFL蛋白はリンパ組織に発現し、Rb蛋白のリン酸化抑制を介し細胞周期G1からS期への進行を阻害する。TFLを欠失するヒト白血病細胞に蛋白発現させると白血病細胞増殖が抑制され、アポトーシスが誘導される。すなわち、ヒト白血病において「がん抑制遺伝子」として機能しうる。p58^<TFL>は、細胞質顆粒のp-bodyにEIF2C2(AGO2)やDCP1aと共在する事から、mRNA/miRNAの安定化を調節し、細胞増殖を阻害すると考えられる。C3H型Zn-fingerモチーフを有するRNA結合蛋白TTPやRoquinが免疫調節分子として注目されているが、ファミリー遺伝子Zc3h12aがRNaseとしてマクロファージの活性化抑制に関与している事が報告された。TFLはリンパ球に高発現する事から、私達が作成したZc3h12 dKOマウスは多段階発がんのみならず、炎症性疾患の動物モデルとしても有用と考えている。
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