研究課題/領域番号 |
20013027
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 光宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50362794)
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研究分担者 |
塩井 剛 理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター(CDB)動物資源開発室・変異マウス開発ユニット, 研究員 (60391968)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2009年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2008年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | TRAP / メディエーター複合体 / MED1 / TRAP220変異マウス / エストロゲン受容体 / 赤芽球分化 / 白血病細胞 / 乳腺 / コアクチベーター / RNAポリメラーゼIIホロ酵素 / 転写メディエーター / TRAP220 / 造血微小環境 |
研究概要 |
私達が見出したRNAポリメラーゼIIホロ酵素複合体の構成成分であるメディエーターは内外のシグナル伝達を最終的に統合する細胞内シグナル伝達の終点である。核内受容体やGATAファミリーの特異的コアクチベーターであるメディエーターサブユニットMED1がいかに正常および癌細胞の増殖・分化・維持に関与するかを検討した。MED1の核内受容体結合部位を破壊した変異マウスを作成したところ、ERαの下流にある乳腺の発育が顕著に抑制されていた。乳腺上皮細胞のBrdU取込みが顕著に減少したこと、しかしリガンドのエストラジオール血中濃度が不変であることや卵巣切除後エストラジオール徐放製剤を植込んだマウスでも同様の乳腺発育不全を認めたこと、乳腺上皮細胞の初代培養でリガンド依存性のER標的遺伝子発現が著明に低下していたことから、ERα機能不全によるDNA合成の低下が原因と考えられた。さらに乳腺組織を詳細に検討した結果、MED1変異マウスでは上皮細胞の乳腺腺管細胞と筋上皮細胞への分岐・終末分化が不十分で、共焦点顕微鏡による検討で、成熟メスマウスでもまだこれら両方の形質を持つ細胞の混在を認めた。このことからMED1の核内受容体結合能は乳腺上皮でERの正常の機能発揮のために必須であり、正常な乳腺細胞の増殖と分化に必須であることが始めて示された。次に腫瘍細胞について赤白血病細胞K562を用いて検討し、MED1がGATA-1のコアクチベーターとしてGATA-1を介する赤芽球分化に必要であることを明らかにした。その機序を検討したところ、MED1とGATA1の結合が必ずしも必要がないこと、その分子機序としてMED1とGATA1を介在するバイパス経路が存在することが示唆された。
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