研究課題/領域番号 |
20013029
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井垣 達吏 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (00467648)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2009年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | がん / 細胞死 / 細胞間コミュニケーション / 遺伝学 / ショウジョウバエ / 癌 / 遺伝学的スクリーニング / 細胞・組織 / 細胞競合 |
研究概要 |
上皮に癌原性の異常細胞が生じると、組織はそれを積極的に排除することによりその恒常性を保つ。本研究は、この癌原性細胞排除システムの活性化に必要な正常細胞と癌原性細胞の細胞間コミュニケーション機構、及びその破綻によって引き起こされる腫瘍形成機構を明らかにすることを目的とする。ショウジョウバエ成虫原基の上皮組織に癌原性の極性崩壊細胞を誘導すると、これらの変異細胞は周囲の正常細胞によって速やかに組織から排除される。このモデル系を用い、遺伝学的スクリーニングによりこの癌抑制システムに異常(亢進あるいは減弱)をきたすショウジョウバエ変異体を網羅的に単離した。遺伝的モザイク法によりショウジョウバエ複眼原基にscrib変異クローン(極性が崩壊した細胞クローン)を誘導した後、これらの変異クローンに隣接する野生型クローンに対してEMSまたはP因子挿入による突然変異をホモ接合となるように導入し、scrib変異細胞群の振る舞いを細胞非自律的に制御する突然変異をスクリーニングした。本スクリーニングにより得られたsuper-eliminator(癌原性細胞の排除を著しく促進する突然変異体)sel-1について、その表現型解析および責任遺伝子領域のマッピングを行った。一連の遺伝学的解析により、sel-1は自身の細胞増殖能を亢進することなく隣接する細胞を駆逐していく新しいタイプのsuper-competitorであることが明らかとなった。また、sel-1変異に起因する致死領域を第3染色体右腕上に同定した。一方、scrib変異クローンが組織から排除される際の周辺の正常細胞の役割を解析した結果、正常細胞は極性崩壊細胞の出現に応答してJNKシグナルに依存した貪食経路を亢進し、これにより隣接する極性崩壊細胞にエントーシス様の細胞死を誘導することで排除を促進することが明らかとなった。
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