研究課題/領域番号 |
20014001
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 慎一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60144862)
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研究分担者 |
山口 ゆり 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 主任研究員 (80166628)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
2009年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2008年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 乳癌 / エストロゲン / ホルモン療法 / マイクロアレイ / GFP / バイオマーカー |
研究概要 |
乳癌の癌部位を含む微小環境、特にエストロゲンシグナルの調節に関係するものの動態を把握するため、手術時に得た検体を初代培養し、ERE-GFP指示細胞と共生培養することによってそれぞれの患者組織のエストロゲンシグナルに及ぼす影響を評価した。これらの解析から間質と乳癌細胞のメディエーターとしてHGFが重要である可能性を見出した。現在、実際に内分泌治療が行われている乳癌組織検体での検討を行なっている。さらにエストロゲン応答配列EREをGFPの上流に繋いだレポーターDNAをアデノウイルスに構築し、手術時に得た乳癌の原発腫瘍の初代培養系に感染導入し、腫瘍の内在性のER活性を定量する系を確立した。これによって個々の患者の癌細胞の個性も含めたエストロゲン関連微小環境の評価やAI剤や抗エストロゲン剤に対する反応性の検討を乳癌の症例約60例について行なった。その結果、免疫染色によるERの蛋白発現とERE-GFPアッセイによるER活性とは全体的には強い相関を示さないことが示され、むしろPgRの発現と相関した。また、これらの症例について、エストロゲン応答遺伝子群の発現を定量的RT-PCRによって解析、比較検討した。また、AI治療後の再発症例で検体の採取が可能であった症例について、このウイルスアッセイ系でER活性を解析したところ、治療後再発にもかかわらず、ER活性が存在し、in vitroで抗エストロゲン剤が有用なケースがあることが明らかとなった。また、ERをはじめ複数の転写因子の分解を調節しているU-box型ユビキチンリガーゼCHIPが進行した乳癌の癌部位で特異的に発現低下していることを見出した。CHIPの強制発現やノックダウン実験から、乳癌の増悪や転移の抑制に関わるマスター遺伝子として機能していることを明らかにした。このことからこのCHIPが今後の乳癌の新たな診断指標になる可能性がある。
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