研究概要 |
1)EGF刺激選択的に細胞死を誘導する化合物の探索 肺がんなど多くのがん細胞ではEGF受容体が過剰発現しており,異常な増殖シグナルが伝わることでがんの悪性化に深く関与している.そこでEGF受容体過剰発現細胞をEGFで刺激した際に選択的に細胞死を誘導する化合物を微生物培養液中から探索した.その結果,1菌株に目的の活性を見出した,そこで,この株の生産する活性化合物の単離精製を試み,各種スペクトル解析を行った結果,活性化合物はカルコン類であることを見出した薬理活性評価を行ったところ,本活性物質はA431細胞にEGF刺激選択的にIC50 0.06μg/mlと非常に低濃度で細胞死を誘導した 2)前立腺がん治療薬リード化合物の探索 前立腺がん細胞では男性ホルモンであるアンドロゲンがアンドロゲン受容体(AR)に結合することで様々ながん悪性化因子が発現する。MK756-CF1株の培養液にはアンドロゲンアンタゴニスト活性を有する新規化合物の存在が示唆されていたことから、それらの単離精製を試みた。MK756-CF1株の培養液を酢酸エチルにより抽出後、新規構造を持つと思われるフラクションをLC/MSのUV・MSスペクトルの解析結果から選別した。そのフラクションからMSスペクトルおよびアンドロゲンのARへの結合阻害活性を指標に種々のクロマトグラフィーにより活性物質を単離精製し、その構造は各種スペクトル解析により決定した。その結果、得られたアンドロゲンアンタゴニストは分子量477、263nmに極大吸収を示す新規化合物(HE21)であった。
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