研究概要 |
スプライシング異常を惹起するエクソン5'末端遺伝子変異の予測アルゴリズムの構築を試みた。ヒトゲノム上に存在するすべてのスプライス受容部位の解析にてエクソン5'味端の塩基がGの時ポリピリミジントラクトが短いことを明らかにした。つまり、ポリピリミジントラクトが長いイントロンはAG-independentであり、スプライセオソーム集合の第1段階においてU2AF35を必要としないために、エクソン5'味端のGを必要としない。次にエクソン5'末端のGの変異がエクソンスキッピングを起こすFECH, GHI, EYA1遺伝子においてそれぞれ13,15,10塩基以上のポリピリミジンストレッチを導入することによりスプライシングが正常化することを見出した。一方、遺伝子変異がエクソンスキッピングを起こさないLPL, HEXA遺伝子においてはポリピリミジントラクトを徐々に短縮させることにより、両者とも正常なsplicingのためには10塩基以上のポリピリミジンストレッチが必要であることが判明した。さらにミスセンス変異として報告をされた6種類の既報告遺伝子変異がスプライシング異常を起こす変異であることを新たに見出した。さらに、エクソン5'末端の変異がエクソンスキッピングを起こすイントロンにおいてはU2AF65とのin vitro結合能が低下していることを認めた。また、AG-dependent3'スプライスサイトにおいてはU2AF35のノックダウンにてエクソンスキッピングが誘導され仮説が実証された。
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