研究課題/領域番号 |
20018028
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター・がんゲノム研究室, 室長 (20311384)
|
研究分担者 |
磯貝 恵理子 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター・がんゲノム研究室, 上席研究員 (40300917)
中川原 章 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 研究局長 (50117181)
大羽 成征 京都大学, 大学院・情報学研究科, 講師 (80362838)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
2009年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2008年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
|
キーワード | 発生・分化 / マイクロアレイ / 遺伝子 / ゲノム |
研究概要 |
神経・肝の発生分化における遺伝子発現ネットワークの解明と、神経芽腫・肝芽腫の発生および疾患メカニズムの解明を目指し、本年度は以下を進めた。 1) 神経芽腫腫瘍サブセット間における発現量の異なる遺伝子の解析 神経芽腫の予後の異なるサブセット間で発現に差のある700個の遺伝子群から、LMO3、HEN2などの癌遺伝子、神経芽腫の分化・増殖に関与するがん抑制遺伝子TSLC1や新規遺伝子BMCC1など18種類以上の遺伝子を同定・解析してきた。今回遺伝子発現プロファイルとゲノム異常を組み合わせた解析により、進行神経芽腫で高頻度に増加する17q25領域の非コードRNA、ncRANを同定し、解析を進めた。ncRANはmRNA発現レベルが予後不良タイプの神経芽腫で有意に高く、過剰発現時に神経芽腫細胞のコロニー形成能を亢進し、ノックダウン時に細胞増殖が抑制されることから、ncRANの高発現は、神経芽腫の細胞増殖亢進に関与していることが示唆された。 2) 神経発生分化関連転写因子群の神経芽腫細胞における遺伝子発現解析 癌遺伝子LMO3やMYCNが関わるMASH1などの神経発生・分化関連転写因子群の転写制御機構について解析を進めた。発生初期の神経組織におけるこれらの遺伝子の発現の追跡を目的に、遺伝子導入マウス胚の作製を進め表現型の詳細な解析を行った。 3) 診断用チップの臨床応用 全国の小児がん臨床施設の協力を得て、千葉県がんセンター研究所にて独自に開発した神経芽腫の診断チップ(過去の症例に対する予後予測効率:約90%)の検証を進めた。新規登録症例を含め約170症例のデータを蓄積し、患者予後のフォローアップを行った。一方、昨年度までの188例の神経芽腫のアレイCGH法によるゲノムコピー数異常の解析から、リンパ腫や肺がんなどで融合遺伝子を形成し細胞増殖の亢進に関与することが報告されているチロシンキナーゼ遺伝子ALKの増幅と変異が見つかった。ALK変異を持つ神経芽腫症例については,今後阻害剤を導入した新規治療法の開発が期待される。本研究の腫瘍リスク分類アルゴリズム構築においてALK遺伝子変異のファクターを取り入れるため、300例についてALK遺伝子異常の有無を検索し、予後への寄与について評価を行った。
|