研究課題
特定領域研究
ニオイ受容細胞から嗅球までの嗅覚情報処理については、高次脳機能研究における視覚系の研究に匹敵するほど、解明が進んだ。その一方で、嗅球より上位の中枢脳領域、例えば梨状皮質、嗅内皮質や辺縁系、さらには扁桃体、視床などにおける嗅覚情報の表現や処理機構についてはほとんど不明で、その解明が待たれている。本研究は最近、我々が開発した嗅上皮(ニオイ受容細胞)付き単離脳標本を用いてこの問題に取り組んだ。具体的には、梨状皮質においてニオイ情報、すなわち種類や濃度がどのように神経活動の差として表現されるかの解明研究を進めた。嗅球と梨状皮質の神経結合の解剖学的知見などから、梨状皮質ではニオイ情報が神経活動の時間的、空間的変化として表現される可能性が高い。これを検証するため、6x3マトリクスの18チャンネル多点電極システム2つをそれぞれ、梨状皮質の前方部と後方部にセットし、1)ニオイ刺激の種類により、神経活動の空間・時間的変化に違いが表れるか、2)同一種のニオイ刺激で、濃度を変化させた場合に、神経活動の空間・時間的変化が観られるか、について実験的に調べた。その結果、前梨状皮質においてニオイ種に対応した神経活動の空間パターンは見出されなかったが、皮質内に分散して存在するニューロンが、複数のニオイ情報を受け取ることで新たなニオイ情報表現を生成に寄与する可能性が示唆された。また、特定の濃度レンジで強く応答するニオイの濃度表現ニューロンが発見された。
すべて 2010 2009 2008
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (22件)
Neuroscience Research 67(2)
ページ: 162-171
Neuroscience Research 64(3)
ページ: 323-329
Journal of Neurophysiology 101(6)
ページ: 3284-3293
Neural Networks 22(9)
ページ: 1214-23
Frontiers in Neuroscience 3(3)
ページ: 344-349
Neuroimage 44
ページ: 1163-1170
Front Neuroanat 3
J Neurophysiol In press
Neurosci Res In press
Anatomical Science International 83
ページ: 195-206
Eur J Neurosci 27
ページ: 1547-1552
Neurosci Res 61
ページ: 172-181
Neurosci Res 63(3)
ページ: 177-183