研究課題
特定領域研究
興奮性シナプスはシナプス後部側の細胞質構造として、樹状突起スパインとシナプス後肥厚部(PSD)を持つ。この二つの構造は興奮性シナプスの機能発現において重要である。生体内でのシナプス発達過程においてスパインとPSDがどのように形成され、また両者の形成過程にどのような関連があるのか、その詳細は明らかになっていない。本研究ではフィロポディアの形成、スパインの発達とPSDの動態を同時に個体内で観察することを目的とした。まず子宮内電気穿孔法を利用して蛍光蛋白質標識されたPSD分子を大脳皮質錐体細胞に発現させる系について検討し、PSD-95に比較して単一PSDからの蛍光シグナルが強いGFP-Homerlcをin vivo観察用の蛍光プローブとして選択した。GFP-Homer1cは培養細胞での分布と同様に細胞体と樹状突起に局在しクラスターを形成した。さらに成熟したマウス個体の大脳皮質ではGFP-Homer1cはスパインの頭部に局在した。以上の分布様式から、GFP-Homer1cはPSDの存在部位を示す蛍光プローブとして利用できることを確認した。次にGFP-Homer1c分子の大脳皮質錐体細胞の発達過程における変化を解析する目的で、GFP-Homer1c分子とDsRed分子を大脳皮質で発現させた幼弱なマウス(生後1-2週間)を対象として、両者の蛍光の同時励起を二光子顕微鏡により行った。大脳皮質浅層の6時間程度のタイムラプス画像を取得し、樹状突起から形成されるフィロポディア・スパイン構造を同定し、このような新規のフィロポディア・スパインにほぼ同時にGFP-Homer1c分子が集積することを確認した。PSDの集積のダイナミクスに関する結果は、我々が以前分散培養系で観察したスパインシナプス形成の時系列データに一致するものであり、個体レベルでもフィロポディアの樹状突起からの伸長が興奮性シナプス形成の初期段階であることが示された。
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