研究課題/領域番号 |
20019017
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2009年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2008年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 生理学 / 実験系心理学 / 網膜 / 視覚系 / シナプス伝達 / 電気シナプス |
研究概要 |
成熟した脊椎動物の網膜においては様々な神経細胞間にギャップ結合が発現しており、ノイズの低減・膜電位変動の同期化・受容野サイズの調整などに貢献していることが報告されている。視細胞と網膜の出力細胞である神経節細胞を繋ぐ介在神経細胞である双極細胞間にもギャップ結合が存在することが魚類や哺乳類などで報告されているが、その機能に関しては不明な点が多い。そこで、成熟キンギョから剥離網膜標本や網膜スライス標本を作製し、巨大な軸索終末部を持つMb1型(ON型)双極細胞や神経節細胞にホールセルクランプ法を適用して双極細胞間のギャップ結合の機能を検討した。その結果、ギャップ結合を介して電気的に繋がっているMb1型双極細胞ネットワークは、Mb1型双極細胞間の膜電位変動の同期やノイズの低減に寄与するのみならず、Caスパイクを介した側方情報伝達にも関与していることが明らかとなった。 網膜視細胞は光刺激によって過分極し、伝達物質であるグルタミン酸の放出を減少させる。その結果、シナプス後細胞であるON型双極細胞では、代謝型グルタミン酸受容体mGluR6下流のカスケードが不活性化され、陽イオンチャネルが開いて脱分極する。これまで、この陽イオンチャネル分子は同定されていなかったが、第4領域の古川貴久班員との共同研究の結果、(1)TRPM1はマウスON型双極細胞の樹状突起に局在し、mGluR6と共存していること、(2)TRPM1ノックアウトマウスでは、ON型双極細胞の光応答が消失していること、(3)TRPM1の強制発現系でこの分子はmGluR1下流のカスケードで陽イオンチャネルとして機能していること、がわかった。したがって、TRPM1は、ON型双極細胞におけるmGluR6下流の陽イオンチャネルであると結論した。
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