研究課題/領域番号 |
20019031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
重本 隆一 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (20221294)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2009年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2008年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | シナプス / 可塑性 / グルタミン酸受容体 / タグ / マッピング / 海馬 / 小脳 / 記憶痕跡 / ビオチン |
研究概要 |
本研究課題は、脳内の情報の統合によって生じる記憶痕跡の存在様式を調べる事で、全く新しい視点での脳統合機能マッピングを作成する事を目的としている。まずは、海馬においてin vivoで慢性刺激電極を使って歯状回に長期増強現象(LTP)を誘導し、AMPA受容体サブユニットGluR1を特異的に標識したところ、新たにGluR1陽性となるシナプスが30%程度存在することが明らかになった。このことは、もしシナプス内に新たに取りこまれるGluR1を特異的に標識することが出来れば、テタヌス刺激によって可塑性が誘導されたシナプスを可視化することが出来る可能性を示している。そこで、GluRlをタグによってパルス標識し、記憶形成後一定時間にタグ陽性シナプスの分布を検索することを試みた。まずは、biotin ligaseによるパルス標識とCA6D4タグと新規化学プローブによるパルス標識を試みたが、現在のところまだ十分なシグナルノイズ比を得るところまで行っていない。並行してGFPでタグ化されたGluR1のLTP誘導後の動きを経時的に追跡しているところである。一方、小脳の平行線維-プルキンエ細胞シナプスの可塑性については、LTD誘導後に週から月単位にわたって持続する新たな電子顕微鏡的構造変化を見出した。これは、シナプス自体とスパインの消失である。水平性視機性眼球運動という単純な小脳運動学習のモデルと間欠的な学習プロトコルを用いることによって、わずか4時間で50%におよぶシナプスを消失させることが出来る。この現象は、LTD誘導に必須のmGluRlaをプルキンエ細胞で欠損しているマウスでは、認めることが出来ないことから、LTD誘導に引き続いて起こる記憶の安定化に関わっていると考えられる。シナプスの消失率が極めて高いことから、分子層の平行線維-プルキンエ細胞シナプス密度を計測することによって、記憶に関係している領域を特定することが可能となった。
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