研究課題/領域番号 |
20019033
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
磯田 昌岐 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, 副チームリーダー (90466029)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2009年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2008年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 意思決定 / 行動企画 / 利他行動 / ニホンザル |
研究概要 |
実社会における自己の意思決定や行動選択のプロセスは、行動環境を共有する他者の存在、他者がおかれた状況、あるいは他者がとった行動によって大きく影響を受ける。逆に言えば、自己の行う意思決定や行動企画が適応的なものとなるためには、共存する他者の意思や行動に注意を払い、それらの情報を効果的に使うことが肝要である。本課題は霊長類サルを対象として、そのような意思決定や行動企画がどのようなメカニズムによって実現されるかを問い、それを統合的アプローチによって解明することを目標とした。 本年度は対座する2頭のニホンザルを同時に用いた役割交代課題を考案した。この行動課題の要点は、1)行動選択・遂行と行動観察の機会が2頭のサルに等しく与えられること、2)相手の行動とその結果を正しく処理することにより自己の正しい行動選択が可能になること、である。合計3頭のサルを被験者として上記課題を行わせ、その行動学的データを解析した。その結果、2頭のサルでは相手の行動と結果を正しく統合し、それに基づいて自己の適切な行動を選択できたのに対し、残りの1頭では相手の行動情報に限って適切に処理できないことがわかった。この障害は相手の行動とその結果の因果関係が理解できないことによることがlicking movementの筋電図解析から示唆された。 以上の実験から、1)ニホンザルが他個体の行動情報を使って自己の正しい行動を導くことができること、2)同時にこの種の能力には個体差が存在すること、が明らかになった。
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