研究課題/領域番号 |
20020007
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂井 克之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70376416)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2009年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2008年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | 神経科学 / 認知科学 / 脳・神経 / 前頭葉 / 非侵襲的脳活動計測 |
研究概要 |
視知覚や注意において前頭領域から後部視覚領域へ向けた逆行性信号が重要な役割を果たすことがこれまでの研究から示唆されているが、その実体は実験的に証明されていない。本研究では研究代表者が独自に開発した磁気刺激誘発性脳電位を用いて、前頭領域から後方視覚領域へいたる逆行性信号伝達パターンの時系列変化を解析し、正常人における視覚認知、選択的視覚注意の動的側面を明らかにする。19人の健常人被験者を対象として、画面上の円内で50個程度の点が決められた一致度で同じ方向に動く視覚刺激を提示し、この方向をボタン押しにより報告させる課題を用いた。点の動き方向の一致度が高い試行(H)と低い試行(L)がpseudorandomに起こるよう試行系列を設定した。このうち半数の試行で、視覚刺激提示後66、166、あるいは266ミリ秒の時点で右前頭眼野に低強度の磁気刺激を加え、これによって誘発される後方視覚領域の脳電位変化を60チャンネルの脳波計により記録した。視覚刺激提示後66ミリ秒で磁気刺激を行った場合、磁気刺激と同側の右側頭葉付近の電極に、H条件とL条件で有意な誘発電位の差が認められた。一方、視覚刺激提示後166、266ミリ秒で磁気刺激を行った場合には有意な誘発電位の差は見られなかった。さらに前試行と現在の試行の視覚刺激情報量が変化した場合と、同じであった場合の磁気刺激誘発電位を比較すると、視覚刺激提示後66ミリ秒で磁気刺激を行った場合に有意な差が認められた。前試行において提示された視覚刺激情報が保持され、これを次の試行で提示された視覚刺激情報と比較するメカニズムが存在し、これによって前頭眼野から後部視覚領域の信号伝達パターンが変化したと考えられる。局所脳領域活動の解析に終始していた従来の研究にたいして、本研究はネットワークの結合強度の動的変化の解析へと発展させるものであるといえる。
|