研究課題/領域番号 |
20020018
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松井 秀樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157234)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2009年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2008年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | オキシトシン / 扁桃体 / 情動 / 不安 / 抑うつ / オキシトシン受容体 / ノックアウト動物 / RGS2 |
研究概要 |
1. 母性行動中の雌マウスでは、脳内で分泌が増加したオキシトシンが引き金となって扁桃体でのRGS2の発現を誘導していることを示した。 2. 拘束ストレスを負荷したマウスでは、脳内で分泌が増加したオキシトシンが扁桃体においてRGS2の発現を誘導し、抗不安作用を発揮する事を示した。 3. オキシトシンによる情動制御機構の解析に用いるRgs2ならびにオキシトシン受容体ノックアウトマウスの作製に成功した。 4. 個体同士のふれあいや交尾行動と情動制御 雌と1時間同居させた雄マウスは、うつ関連行動を評価する強制水泳試験においてうつ状態が軽減した。この抗うつ効果は、オキシトシン受容体欠損雄マウスでは認められなかったことから、雌との接触により分泌が増加したオキシトシンが受容体に結合することにより発揮されると考えられた。 5. PDE5阻害剤シルデナフィルと情動制御 シルデナフィルをマウスの腹腔内に投与すると、脳内の室傍核でオキシトシン量が増加することを明らかにした。シルデナフィルは、ラットのうつ状態を軽減した。シルデナフィルの抗うつ効果はオキシトシン受容体欠損雄マウスでは観察されなかった。シルデナフィルを投与した雄マウスは、不安関連行動が減少した。これらの結果より、シルデナフィルの投与によって脳内で分泌が増加したオキシトシンが受容体に結合することによって、雄マウスに抗うつ効果が発現することが示唆された。 本研究成果の社会的意義 (1)パートナーとのスキンシップが十分に持てるような社会環境の是正が医薬によらないうつ病の予防と治療につながる可能性がある。 (2)バイアグラの薬効成分であるシルデナフィルは、性的機能不全の副作用をもつ既存の抗うつ薬に代わる、あるいは併用される新たなうつ病治療薬の可能性をもつと期待される。
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