研究課題
特定領域研究
[目的]生物の意思決定は期待される報酬量だけでなくそれを得るための「コスト」にも大きく左右される。本研究ではセロトニン系が報酬の計算、さらにこれがコストの情報と統合されるメカニズムであるという仮説を検証するため眼球運動課題を訓練したサル(n=2)を用いて、セロトニン細胞を含む背側縫線核(DRN)細胞の単一神経活動を記録した。[方法]delayed saccade task : saccadeのターゲットは右か左であり、それぞれが異なるジュースの量(報酬)と関連付けられている。それを得るための遅延時間(1600msまたは1000ms)がsaccadeの前(memory guided saccade task MGS)の場合と、saccadeの後(visually guided saccade task VGにおいてsaccadeの後targetで報酬を待つ)の場合を比較した。[結果](1) 半数近くのDRN細胞の神経活動は報酬量により変化する。(2) DRN細胞の神経活動は遅延時間そのものだけでは変化しにくい。(3) しかし、遅延時間中の神経活動はその後に得られる報酬の量に強い変化を受ける。しかも、報酬の影響をうける遅延時間は、そのタイミングに強く依存する。すなわち、遅延時間が眼球運動の後にある場合は報酬の量の神経活動への影響が大であり、前(記憶依存性眼球運動課題の記憶期間とする)にある場合はあまり影響をうけない。[考察]DRNの単一細胞レベルで報酬とコストの統合が行われ、しかも行動の有無にも影響をうけることが明らかになった。以上のことから、背側縫線核細胞は「そのblockで得られる平均的な予測(期待)報酬量」をコードしていて、さらにその信号は行動課題の中の時間経過によって変化を受けることがあきらかになった。
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The Journal of Neuroscience (In press)
http://www.kmu.ac.jp/depts/intro/physiol2.html
http://www.kmu.ac.jp/depts/intro/physio12.html