研究課題/領域番号 |
20020030
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
南部 篤 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (80180553)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2009年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2008年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 大脳基底核 / 随意運動 / 運動制御 / 淡蒼球 / 大脳基底核疾患 / 脳深部刺激療法 |
研究概要 |
パーキンソン病やジストニアなどの大脳基底核疾患の治療法のひとつとして、脳深部に刺激電極を埋め込み慢性的に高頻度刺激(100Hz以上)するという脳深部刺激療法(DBS)が広く行われるようになってきた。しかし、その作用メカニズムについては不明な事が多い。今回、脳深部刺激療法のターゲットのひとつである淡蒼球内節における作用メカニズムを探るため、覚醒下でニホンザルの淡蒼球内節を刺激し、近傍のニュリロン活動を記録した。 1) 単発刺激では、淡蒼球内節ニューロンの活動が抑制された。 2) 連続刺激にすると、刺激に応じて抑制が誘発された。刺激頻度を上げると抑制が次第に融合し、100Hz以上では刺激期間中、発射が完全に抑制された。 3) 薬物注入ができる記録電極を用い、記録しているニューロンの近傍にgabazine (GABA_A受容体拮抗薬)を微量注入すると、単発刺激、連続刺激によって誘発される抑制が消失した。したがって、抑制の由来としては線条体ニューロンあるいは淡蒼球外節ニューロン(両者ともGABA作動性)の軸索を刺激していることが考えられる。 4) 大脳皮質運動野を単発刺激すると、早い興奮+抑制+遅い興奮からなる3相性の応答が淡蒼球内節で記録される。運動野刺激と淡蒼球内節連続刺激を時間的に重ねると、この3相性応答も抑制された。 以上をまとめると、淡蒼球内節の連続刺激では、刺激直後は兎も角、それ以降は淡蒼球内節ニューロンがGABA作動性に抑制されている。また、刺激期間中、大脳皮質からの信号が、淡蒼球内節でブロックされている。これらのことから、淡蒼球内節-脳深部刺激療法の作用メカニズムとしては、異常な信号が大脳基底核外に伝達されるのを淡蒼球内節でブロックしていることが考えられる。
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