研究課題/領域番号 |
20020035
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
入來 篤史 独立行政法人理化学研究所, 象徴概念発達研究チーム, チームリーダー (70184843)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2009年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2008年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 神経経済学 / 脳機能画像 / 非合理的判断 / バブル経済 / 腹内側前頭前野 / 下頭頂小葉 / 外側前頭前野 / 株取引行動 / 刺激等価性 / 排他律 / 道具使用 / voxel based morphometry / ニホンザル / 成体神経新生 / デグー |
研究概要 |
行動経済学はバブルを引き起こすと考えられるヒトの非合理的な行動の一部について説明することを始めている。たとえば、「貨幣錯覚」と呼ばれる現象は、インフレーション下で名目所得が増加すると実質所得は減っていても所得が増えたように錯覚することであり、購買行動を誘発することでバブルを引き起こすと考えられる。一方、神経経済学はバブルに関わるヒトの非合理的な行動を支持する神経基盤を明らかにしつつあるが、バブルが発生しているときに取引しているヒトの脳活動はこれまでに計測されていない。我々は、実際にバブルの様相を呈し破綻に至った投資会社の株式価格データを用いて、実際に株取引を行っているときの脳活動を計測した。被験者は取引により収益を最大化するよう求められ、参加の謝金が収益に依存することを理解して実験に参加した。実験の結果、バブル期の買い注文に関わる脳活動のなかで被験者の収益に相関するのは腹内側前頭前野(BA32)であった一方、売り注文に関わる脳活動のなかで被験者の収益に相関するのは外側前頭前野(BA10)であった。これらは我々の仮説を支持する。また、fMRI実験後に行った時間展望尺度アンケートの結果と相関するバブル期の買い注文の脳活動が左下頭頂小葉(BA40)に見られた。これらの結果から、下頭頂小葉で計算される株価の見通しが認知バイアスとして働くことで腹内側前頭前野の非合理的判断を誘導したのではないだろうか。もしそうであるならば、下頭頂小葉がヒトで大きく発達したことが、経済的な予測を可能にするのと同時にバブルという病理を生み出しているのかもしれない。
|