研究課題/領域番号 |
20021001
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中尾 光之 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20172265)
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研究分担者 |
坪川 宏 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (30227467)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2009年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2008年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 海馬 / 樹状突起 / カナビノイド / 細胞内シグナル伝達 / 2-AG / DSI / COX-2 / プロスタグランジン / カルシウム / 逆行性伝播 / 活動電位 |
研究概要 |
我々は、樹状突起活動電位の生理学的役割の候補の一つとしては、内因性カナビノイドを介した抑制性シナプスにおける逆行性情報伝達、いわゆるDSIが、生理的にはNa^+スパイクの樹状突起への逆伝播によって誘発されるという仮説を立てた。DSI自体のメカニズムに関するこれまでの研究からポストシナプスより放出される内因性カナビノイドは、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)であると考えられている。そこで、プレシナプスの機能修飾のメカニズムを調べるために、本年度はCOX-2の活性変化の影響や代謝産物の投与効果について調べた。 2-4週齢のマウスより海馬スライス標本を作成し、CAI野錐体細胞における単シナプス性IPSCをボルテージクランプ・モードで経時的に記録した。COX-2の抑制剤であるCAY10404を細胞外投与すると、IPSCの振幅は減少した。この効果はCBI受容体のアンタゴニストであるSR141716の追加投与により阻害されたことから、内因性カナビノイドである2-AGの働き、すなわちDSIと同等の伝達物質放出抑制によると考えられる。一方、COX-2による2-AGの代謝産物であるPGE2-Gを細胞外へ投与すると、IPSC振幅には一過性の増強が観察された。これらの結果は、(1)海馬スライス標本においてはプロスタグランジンとカナビノイドのある程度の放出・滲出が常にあること、(2)COX-2活性の程度により両者の放出・滲出のバランスが変化し、結果としてプレシナプスにおけるGABAの放出が促進・抑制の両方向に調節され得ること、(3)樹状突起活動電位によるポストシナプスの脱分極は2-AGの産生を促進することで両者のバランスを変化させ、GABAの放出抑制を引き起こしていること、を示唆している。樹状突起活動電位がCOX-2活性に影響を与えるか否かなどが今後の重要な課題である。
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