研究概要 |
覚醒行動マウスにおける大脳皮質錐体細胞からのホールセル記録と2光子イメージングを行うことを目的として新しい方法の開発を行った。2光子イメージングを用いた独自のin vivo可視化パッチクランプ法を開発し、麻酔下および覚醒拘束下のマウス、ラットにおけるホールセル記録を行ってきた。脳内の細胞外領域に蛍光色素を導入することで、個々のニューロンの「影」を可視化して選択的に、非常に高い効率で長時間安定したホールセル記録を行うことが可能となっている(Kitamura et al., Nat. Methods, 2008)。これまでに、覚醒マウスにおける大脳皮質-時運動野の第2/3層錐体細胞のホールセル記録を行い、覚醒状態における自発活動および自発的な洞毛運動(Whisking)による膜電位変化を計測することに成功した。過去の体性感覚野における報告(Crochet & Petersen, Nat. Neurosci, 2006 ; Poulet and Petersen, Nature, 2008)と同様に、quiet periodにおける膜電位のup-down stateや、whiskingに対応したup状態が確認されている。また、同様の方法を用いることで、覚醒マウスの小脳プルキンエ細胞からのホールセル記録を行い、マウスの飲水運動とプルキンエ細胞の発火・シナプス活動を同時に解析できる系を完成した。次に、行動中のマウスにおいてホールセル記録や2光子イメージングを行うために、頭部固定状態でも運動が可能なトレッドミルの開発を行った。これによって、頭部を固定した状態でも、一週間程度の訓練を行うことで、マウスにトレッドミル運動を行わせることが可能になった。
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