研究課題/領域番号 |
20021017
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2009年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2008年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 |
研究概要 |
ラット視覚野において2/3層錐体細胞のT型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強(TCa-LTP)は感受性期の片眼遮蔽による非遮蔽眼刺激に対する視覚反応増強に寄与することはすでに報告している。ネコを用いた研究により、眼優位可塑性は、ノルアドレナリンとセロトニンにより促進されることが示されている。本年度の研究では、これらのニューロモデュレーターによるTCa-LTPの制御を解析した。 感受性期のラット視覚野スライス標本において、4層の刺激電極により誘発される電場電位を2/3層から細胞外記録し、2Hz,15分の条件刺激によりTCa-LTPを誘発した。アドレナリン作動性6受容体阻害薬Timololは長期増強の維持には影響を与えなかったが、誘発を抑制し、長期増強の大きさをコントロールの半分程度に低下させた。この誘発促進効果はB_2ではなくB_1受容体が担っていた。α_1とα_2受容体の阻害薬は共にこの長期増強に全く影響を与えなかった。5-HT_<1A>受容体阻害薬WAY-100635と5-HT_2受容体阻害薬SB221284は長期増強の維持には影響を与えなかったが、誘発を阻止した。しかし、5-HT_<1B/D>阻害薬は長期増強に全く影響を与えなかった。 DSP-4でノルアドレナリンを枯渇させたスライスでは長期増強の大きさはコントロールの約半分になり、PCAでセロトニンを枯渇させたスライスでは長期増強の大きさは約1/3に減少した。免疫染色による解析から、これらのスライスではノルアドレナリンあるいはセロトニンがコントロールの1/5程度に減少していた。 以上より、ノルアドレナリンはB_1受容体を介して、セロトニンは5-HT_<1A>受容体と5-HT_2受容体を介して共に長期増強の誘発を促進する。ノルアドレナリンとセロトニンが眼優位可塑性と長期増強を共通のサブタイプの受容体を介して促進するので、本研究結果は、T型Ca^<2+>チャネル依存性長期増強が眼優位可塑性に寄与することを支持する。
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