研究課題
特定領域研究
低分子量G蛋白質Rabは真核細胞に普遍的な膜輸送の制御因子で、哺乳動物においては60種類以上の異なるアイソフォームが存在することが知られている。RabはGTPを結合した活性化型とGDPを結合した不活性化型の二つの状態をとり、活性化型のGTP-Rabがエフェクター(effector)と呼ばれるパートナー分子と特異的に結合することにより膜輸送を促進すると考えられている。我々はこれまでシナプス小胞の輸送におけるRab27の役割を明らかにしているが(PMS(2008)105 : 16003-16008)、神経細胞の極性形成(輸送)におけるRabアイソフォームの役割は、Rabの種類数が非常に多いこともあり、ほとんど解明されていない。そこで本研究では、当研究室で独自に開発した『Rabの網羅的解析ツール(Rab panel)』を用い、軸索あるいは樹状突起特異的な膜輸送に関与するRabアイソフォームの同定とその機能解析を行い、神経細胞の極性形成におけるRabシグナリングネットワークの全貌の解明を目指した。本年度はまず、(1)緑色蛍光蛋白質(GFP)をタグした60種類のRabを神経成長因子で神経細胞様に分化させたPC12細胞に導入し、突起形成・伸長に影響を及ぼすRabアイソフォームのスクリーニングに着手するとともに、(2)酵母two-hybrid法及びGST pull-down法によりRabエフェクターの網羅的スクリーニングを行った。これまでのスクリーニングで、神経突起の伸長を促すRabアイソフォームや30種類を超える新規のRabエフェクター候補分子を同定することに成功している(Mol. Cell. Proteomics(2008)7 : 1031-1042 ; Mol. Biol. Cell(2008)19 : 2916-2925)。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
J. Neurosci. Res. 86
ページ: 1036-1043
J. Immunol 181
ページ: 5289-5895
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105
ページ: 16003-16008
Cell. Mol. Life Sci 62
ページ: 2801-2813