研究課題/領域番号 |
20022007
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山下 俊英 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10301269)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2009年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2008年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 中枢神集 / 再生 / グリア / 中枢神経 |
研究概要 |
Repulsive guidance molecule (RGM)はグリア細胞に発現するGPIアンカー型蛋白質であり、個体発生時に、海馬歯状回および網膜における軸索誘導ならびに神経管の閉鎖(細胞死の制御)に関与しており、脳機能の構築に必須の分子である。我々は、RGMが成体ラットの脊髄損傷後に損傷周囲において発現上昇することを観察し、成体の中枢神経系での機能解明を行った。脊髄損傷後にRGMの機能を抑制することで、軸索再生が誘導され運動機能が回復することを見いだした。本研究では、軸索再生と細胞死の分子メカニズム、すなわち神経細胞上の受容体により惹起される細胞内シグナル伝達について解析を進めた。RGMの神経細胞上の受容体はneogeninとUnc5Bからなる複合体であることを証明した。neogeninとUnc5Bはリガンド非依存性に複合体を形成しており、neogeninはRGMとの結合を担い、Unc5Bはsignal transducerとして働くことが明らかになった。さらにUnc5B/neogeninとLARGが結合しており、リガンド依存性のRhoAの活性化はLARGを必要としていることを明らかにした。特にLARGはUnc5Bと直接結合しており、その活性はfocal adhesion kinase (FAK)によって制御されていた。リガンドであるRGMの結合により、FAKの脱リン酸化がおこり、活性化された。以上より、Unc5B/neogenin共受容体はFAKおよびLARGを介してRhoAの活性化を担っていることを明らかにした。なぜ再生阻害機構がほ乳類の中枢神経に存在しているかという疑問に対し、「軸索再生阻害は神経細胞の生き残り戦略である」という仮説が古くからあった。本研究結果より両現象のシグナル伝達機構が明らかになり、軸索再生を促進する手法の開発に役立つと期待できる。
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