研究課題
特定領域研究
嫌悪情動が関わる学習は、容易かつ強力に獲得され、長期間に渡り持続する特性を有する。このような侵害的な嫌悪刺激に伴う学習制御には、特異的な神経回路と分子機構が関わる事を示唆している。本研究では、情動制御に重要な脳部位のうち、扁桃体神経亜核特異的に遺伝子操作を可能とするマウス系統を樹立し、嫌悪情動学習制御における扁桃体亜核の機能を、NMDA受容体とストレスホルモン(グルココルチコイドやオキシトシン)等に焦点をあて解析することを目的とした。扁桃体亜核特異的な遺伝子操作を行うために、外側核(Grp遺伝子)、中心核(Lhx7/8とWfb1遺伝子)、内側核(Prlr遺伝子)にそれぞれ発現すると報告されていた遺伝子座に遺伝子組換え酵素、CrePR,あるいはiCreを挿入したマウスの作製を行った。また、遺伝子ノックアウト(KO)する標的として、NMDA受容体サブユニット(Grin1)、NMDA受容体の内在性コアゴニストと考えられているD-セリンの合成酵素(Srr)、ストレスホルモンとして情動制御に関わると考えられるグルココルチコイド受容体(Nr3c1)、オキシトシン受容体(Oxtr)のそれぞれの遺伝子座にCreの認識配列(loxP)を挿入した標的遺伝子組換えマウス系統を行った。Cre挿入マウスに関しては、扁桃体外側核に選択的発現を示すGrp遺伝子の蛋白開始コドンに、iCre-splice遺伝子を導入したマウス系統が完成した。このマウスとレポーターマウスを用いて解析を行ったところ、扁桃体では、外側核と基底内側核で遺伝子欠損を可能とするマウス系統が確立できた。現在、得られたGRP-iCre-sマウスとGr-floxマウスを掛け合わせ、目的のマウス系統を作製中である。
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