研究課題
特定領域研究
本研究は、個体における神経細胞の細胞膜上に発現する神経伝達物質受容体やイオンチャネル等の機能分子の分布やその変化を電子顕微鏡レベルで定量的に解析することで、シナプス伝達の分子機構を単一シナプスレベルで明らかにし、脳の情報処理機構の理解することを目指している。平成21年度はシナプス可塑性とシナプス内AMPAR局在の関係について、ラットを用いたin vivo長期増強現象(LTP)誘導と新規環境探索課題を用いて解析した。In vivo LTP誘導実験では、LTP誘導後45分、および6時間でAMPARのシナプス内標識密度が有意に増加し、24時間後では誘導前と同レベルに戻っていた。このことから、LTP誘導に伴いシナプス内AMPAR密度の一過性の増加が起こることが明らかになった。新規環境探索課題を45分間課したラットでは、海馬歯状回でc-fosタンパク質発現陽性の顆粒細胞が増加した。このc-fos陽性顆粒細胞が増加した部位の歯状回分子層では、シナプス内AMPAR標識密度が増加傾向にあることを示す結果が得られ、生理的な条件下でLTP様のシナプス内AMPA受容体分布の再構成が起きていること、また、その頻度はシナプス集団を対象にしても検出できるほど高頻度に起きていることが示唆された。
すべて 2010 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
The Journal of neuroscience 29
ページ: 12896-12908
The EMBO journal 28
ページ: 2195-2208
The Journal of comparative neurology 515
ページ: 215-230
Journal of Neuroscience 28
ページ: 9692-9701