研究課題/領域番号 |
20022045
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
古川 貴久 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 発生生物学部門, 研究部長 (50260609)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2009年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2008年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 発生・分化 / 神経科学 / 遺伝子 / 脳神経疾患 / 再生医学 |
研究概要 |
我々は網膜視細胞の発生、特に細胞運命決定、細胞形態形成、シナプス形成のメカニズムの解明を目指している。視覚情報は明暗の情報に応じて、双極細胞において初めてONとOFFという経路に分かれることが明らかとなっており、視覚情報処理においてはこの明暗の情報処理(ON,OFF)が決定的に重要であることから、双極細胞のイオンチャンネルの実体が注目されてきた。この明暗を区別するON/OFF応答は双極細胞に発現しているイオンチャネルの性質に依存していることが知られていたが、応答の大部分を占めるON型応答を司るイオンチャネルが何であるかは不明であった。我々はTRPM1が網膜の中でも中間ニューロンである双極細胞に特異的に発現していることを見いだした。TRPM1欠損マウスにおいては視細胞は正常に機能しているものの、ON型双極細胞の機能のみが特異的に欠損していることが明らかとなった(OFF型は正常)。培養細胞を用いた強制発現系により、TRPM1がON型双極細胞の未知の視覚伝達チャネルが持つと予想されていた、非選択性の陽イオンチャネルという性質を持ち、mGluR6シグナル経路により抑制的制御を受けることを明らかにし、20年来の謎であったON双極細胞のイオンチャネルの実体を解明した。また我々は、先天性停止性夜盲症の患者においてはTRPM1の変異が疾患の原因となっていることを明らかにした。今回の成果は、ヒトの新たな網膜疾患の原因遺伝子を同定し、その異常の原因を機能的に明らかにしたものであり、神経科学分野での情報伝達の基礎的理解への貢献のみならず医学的な見地からも、網膜疾患の診断や治療に結びつく成果と考えられる。
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