研究課題/領域番号 |
20023020
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 亮太 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10370983)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2009年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2008年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 統合失調症 / ディスバインジン / モデル動物 / 行動解析 / 記憶 / 社会姓 / 不安 / 新奇性追求 / 社会性 |
研究概要 |
ディスバインジン(Dysbindin : DTVBP1 : dystrobrevin-binding protein 1)は、世界中の多数の民族において統合失調症との関連が確認されているもっとも有力な統合失調症脆弱性遺伝子の一つである。統合失調症の死後脳研究において、ディスバインジン発現レベルの低下が認められることが報告されている。我々は抗精神病薬を長期投与したマウス脳においてディスバインジンmRNA発現の変化が認められないことを報告した。よって統合失調症脳におけるディスバインジンの発現レベルの低下は抗精神病薬投与による影響を受けているのではなく、統合失調症の病態に関連していると考えられる。これらの結果から、ディスバインジンのノックアウトマウスが統合失調症のモデルマウスとして有用である可能性が示唆される。そこでディスバインジンのノックアウトマウスが統合失調症のモデルマウスとして有用である可能性が示唆されることから、このマウスの行動解析を行い、新奇環境における探索意欲の減退や、不安の増強、社会的行動の異常、運動学習の障害、長期記憶の障害作動記憶の障害を見出した。我々は、ディスバインジンを過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し、行動解析を行い、forced swim testにおいて無動時間の短縮が見られた。それ以外には、特に異常行動は認められなかった。これらの結果は、ディスバインジンの過剰発現によって大きな異常は認められないものの、ストレス環境下においたときにストレス耐性が認められたと解釈できる。このことは、神経細胞レベルにおいて、ディスバインジンがストレスによる細胞死に保護的に働くことと合致すると考えられる。すなわち、ディスバインジンの過剰発現がresilienceを高めているとも考えられ、統合失調症の新たな治療法に結びつく可能性がある。
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