研究概要 |
平成20年度に行ったトップクォーク随伴生成反応によって生成されたヒッグス粒子の横方向運動量を測定することにより、生成された粒子のスピン・パリティの情報を得る研究の改善を目指した。解析のために生成したモンテカルロ事象の測定器シミュレーションに高速型の簡易シミュレーションプログラムではなくフルシミュレーションプログラムを一部(シグナル過程であるヒッグス粒子)の事象の生成に適用し、前年度に簡易シミュレーションプログラムを用いて行った解析結果を確認することが出来た。 またバックグラウンド事象を効率良く生成しバックグラウンドの統計精度を改善するために、並行して取り組んでいるGPUを用いた事象生成の高速化の研究(参考1)をこの研究に応用し、ヒッグスシグナル事象とバックグラウンド事象を効率的に生成する研究を行った。現在のところ重み付き事象のみの生成であるが、従来の事象生成に比べて一桁以上の効率の改善の可能性がある。今後、実際のシミュレーションに使える重みなし事象を生成しこの研究の解析に利用できる様にすることが課題である。 なおヒッグス粒子の他の崩壊過程の測定を用いてこの研究をヒッグス粒子のトップクォークへの結合定数の測定に結びつける研究は今後の課題として残ってしまった。 参考1:Fast calculation of HELAS amphtudes using graphics processing unit (GPU). K. Hagiwara, J.Kanzaki, N. Okamura, (KEK, Tsukuba), D. Rainwater, (Texas U.), T. Stelzer, (Illinois U., Urbana). 2010. 14pp. Published in Eur. Phys. J. C66 : 477-492, 2010.
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