研究概要 |
燃焼プラズマ下ではDT反応で生じた3.5MeVアルファ粒子が存在する.損失アルファ粒子検出器は閉じ込め領域外に損失してくるアルファ粒子のピッチ角とエネルギーを測定することができる.本研究はアルファ粒子の閉じ込め物理や燃焼プラズマ閉じ込め物理に関する研究を行うために,損失アルファ粒子検出器を国際熱核融合実験炉ITERに設置し,その際に生じる諸問題を解決すること,及び大型ヘリカル装置LHDにおいて実証することが主な目的である.ITERでの損失アルファ粒子検出器の開発において特に重要な課題に絞って研究を進めた.また,新方式の損失アルファ粒子計測システムの検討も行った. H21年度は主に以下の成果を得た. 1. ITER等の高放射線照射における光学材料特性に関する知見を得るために原子炉JRR-3(フルエンス~10^<23>nm^<-2>)の低照射量と,BR2(~10^<24>nm^<-2>)の高照射量実験を行った. 2. JRR-3における低照射量の場合,多結晶1mol%Ce : YAGの透過率は380~400nm付近の透過率が低下していた.しかし,発光に寄与するCe^<3+>が作る吸収帯400~500nmの透過率は変化が見られなかった. 3. JRR-3における低照射量の場合,Alコートミラーの反射率は380~750nmの可視領域において一様であった.絶対反射率測定を行う必要がある.目立った吸収等は観測されなかった. 4. BR2における高照射量の場合,照射後の多結晶0%,1mol%,0.1mol%Ce : YAGは380~800nmの波長領域で一様に透過率の低下が見られた. 5. 新方式である損失アルファ粒子計測手法として,損失アルファ粒子誘起ガンマ線スペクトロスコピーを提案した.そのベンチテストとしてLSOシンチレータを用いてAm-Be線源から放出されるガンマ線の観測に成功した. 6. LSOシンチレータのガンマ線波高スペクトルをEGS4コードにより説明することができた. 7. ITERを想定した検出器の設置場所における中性子とガンマ線のフラックスをMCNPコードにより見積もった.その結果を元に,検出器の設計検討を行った.
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