研究課題/領域番号 |
20027008
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥山 弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60312253)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2009年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2008年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | 分子コンタクト / 電子伝導 / 1分子伝導 / 走査トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
本研究課題は走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、金属電極とSTM探針間に単分子を架橋し、この系の伝導度を計測することを目的としている。従来の研究と異なる点は、分子接合を非破壊に可逆的に形成した上で伝導度を計測することであり、分子接合研究に新たな実験手法を提案することにより、分子伝導に関してより深い理解を得ることを目的としている。 まず、6KのCu(110)表面上に今回対象分子としたベンゼンを吸着させ、STM探針に拾い上げた。このベンゼン/探針系は非常に安定であり、表面に吸着した銅原子への接触に対して可逆的に分子接合の形成を繰り返すことができる。そのときの分子-銅原子間の相対距離に対して伝導度を測定した。伝導度はトンネル領域から0.1GOでバリスチック領域に入る。すなわち、探針-ベンゼン-銅原子系の伝導度は0.1GOと決定された。一方、分子-探針系を先に作成することにより、規定された表面電極の構造と伝導度の関係について調べることが可能になる。すなわち、表面電極として銅原子による「アダトム電極」と清浄面による「フラット電極」を用意し、同じ探針-分子系を用いてそれぞれの電極に対し接合を形成した。その結果、アダトム電極との接合による伝導度が0.1GOであったのに対し、フラット電極によるそれは0.2GOと2倍の伝導度を示した。この差はベンゼン分子と表面電極の接合構造の差に起因するものである。本研究により、これまで重要であると認識されながら実験的には全く調べられなかった、電極構造と分子伝導の関係を特定の分子系に対して初めて明らかにすることができた。
|