研究課題/領域番号 |
20028004
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
慈道 大介 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (30402811)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2009年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 理論核物理 / 量子色力学 / ハドロン物理学 / ストレンジネス / ハドロン励起状態 / エキゾチックハドロン / 中間子原子核 / ハドロン分子状態 / カイラル対称性 |
研究概要 |
本研究では、ハドロン励起状態の構造に関してハドロン的描像に立って研究を行った。また、バリオン励起状態が重要な役割を担うと予想されている中間子原子核の生成反応や、中間子の核媒質中での性質、エキゾチックハドロンである(-)バリオンの構造に対する研究を行った。主要な研究成果について記す。 (1) Λ(1405)励起状態の生成反応の理論的研究 Λ(1405)は生成される過程によって、スペクトラムの形が変わると予想されている。本研究では、反K中間子と重陽子の反応を用いれば、Λ(1405)が反K中間子と核子から生成されることをつきとめ、実験で観測されるスペクトラムの理論的予想を行った。今後、行われる実験に対し重要な示唆を与えた。 (2) 中間子原子核の生成断面積とK中間子原子核の崩壊過程 η中間子原子核とK中間子原子核の生成断面積を理論的に計算し、実験で得られる生成スペクトラムの計算を行った。また、Λ(1405)を反K中間子と核子の準束縛状態であるという描像に立って、核媒質中の反K中間子がどのように吸収されるを理論的に予想した。 (3) 核媒質中でのハドロンの性質 a1中間子がρとπ中間子のハドロン共鳴であるという立場にたって、核媒質中でのa1中間子の性質を調べた。密度が高くなるにつれ、a1中間子の崩壊幅は大きくなるが、ρ中間子と縮退する傾向であることを確認し、核媒質中でのカイラル対称性の部分的回復の理解に対し重要な示唆を得た。また、中性子星などの高密度状態でπ中間子が凝縮する可能性を、π中間子に対する現在の現象論的知見から検討をし、π中間子凝縮の可能性が小さいことを示した。 (4) QCD和則における(-)バリオン QCD和則を用いて、(-)バリオンの量子数を決定した。実験で観測されている(-)バリオンは、アイソスピン0、スピン3/2、正パリティーを持つ可能性が高いことがわかり、他の量子数を持ったペンタクォーク状態も存在する可能性があることを指摘した。
|