研究課題/領域番号 |
20030003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
奥西 巧一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30332646)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 強磁場 / 磁場誘起非整合秩序 / モンテカルロシミュレーション / 密度行列くり込み群 / スピン / 擬一次元 / 状態密度 / カイラリティー / くりこみ群 |
研究概要 |
BaCo2V2O8における磁場誘起新奇非整合秩序の発見をうけ、疑1次元量子スピン系における磁場誘起相転移と、それにともなう新奇スピン秩序状態の解明が重要な論点となっている。本研究課題では、とくに、スピンのイジング異方性の役割と1次元性との兼ね合いの観点かち、疑1次元古典スピン系の熱相転移の特徴をモンテカルロシミュレーションなど計算物理的手法を用いて明らかにした。 具体的には拡張アンサンブルにもとついたWang-Landau法を、鎖方向と鎖間方向に対応した2次元状態密度に拡張し、シミュレーションを行った。この2次元状態密度の状態分布から疑1次元系特有の比熱のピーク構造を抽出することができた。さらにこの結果より疑1次元系のスケーリング解析における一般的な注意点を明示的にまとめた。次に、連続スピン自由度をもつ疑1次元古典XXZ模型の磁場中相転移についても同様の解析を行った。通常の3次元での古典XXZ模型は磁場によりスピンフロップ転移を起こすことが知られている。しかし、スピンフロップ転移は1次相転移であり、通常のモンテカルロシミュレーションで扱うことは困難であったため、鎖間結合により弱く結合したXXZ鎖がどのような相転移を起こすのかはながらく非自明な問題として残されてきた。本研究では磁化についての状態密度に対してWang-Landauシミュレーションを行うことで問題の解決をはかり、系統的に磁場中相転移を調べることが可能にした。最終的に疑1次元古典XXZ模型の磁気相図の鎖間結合依存性を明らかにし、3次元的な特徴が疑1次元古典XXZ系でも保持されることが分かった。この結果、BaCo2V2O8で見られた新奇秩序は純粋に量子効果により誘起されていることが確認できた。
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