研究課題
特定領域研究
1. Pd-nanoSILCの開発と鈴木-宮浦反応への展開すでに我々は、イオン液体で酢酸パラジウムをアモルファス固体担体の細孔内に固定化した固定化触媒Pd-SILCが、不均一系触媒として鈴木-宮浦反応において高い活性とリサイクル性を示すことを明らかにしてきた。本研究では、末端にアミノ基を有する第3世代のナノシリカゲルデンドリマーに、酢酸パラジウムをイオン液体[bmim]PF_6により固定化した新規触媒Pd-nanoSILCを調製した。本固定化触媒は流動性があり、また各種有機溶剤に均一に分散した。TEM観測の結果、ジメチルアミノ基を有するPd-nanoSILCは規則的なクラスター構造を持ち、高い活性を示すことが分かった。鈴木-宮浦反応に用いたところ、50% aq.EtOH中において平均収率93%、簡単な遠心分離操作のみで5回のリサイクル使用に成功した。反応は配位子を加えること無く、空気中、室温で進行した。本触媒の活性は高く、TONは170,000に達した。また基質一般性も広く、特にオルト置換体、トリフレート体に対応するのが従来のPd-SILCに無い新しい特徴である。2. MacMillan触媒固定化Mac-SILCの開発と不斉Diels-Alder反応への展開MacMillan触媒は、温和な条件で様々な不斉変換反応を高収率、高エナンチオ選択的に進行させる汎用性の高い触媒である。その一方で、触媒としては使用量が多い事、回収再使用が出来ない事などの問題点がある。これらの問題点を解決すべく、MacMillan触媒を20wt%の[bmim]NTf_2で無定形シリカゲルに取り込ませたMac-SILCを調製した。このMac-SILCを用いDiels-Alder反応を検討したところ、t-Amylalcohol中、平均化学収率81%、エンド体およびエキソ体の平均光学収率をそれぞれ87%ee、80%eeで、6回のリサイクル使用に成功した。基質一般性は広く、ルイス酸触媒を用いても反応しない電子豊富な桂皮アルデヒドにも適用することが出来た。
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